研究課題/領域番号 |
17H04557
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
玄場 公規 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (80313039)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 研究マネジメント / イノベーション / 大学 / 技術経営 / 科学技術政策 |
研究実績の概要 |
本研究は、海外と日本の大学の研究マネジメントの詳細な情報を収集し、比較分析を行う。近年、日本においても大学からのイノベーション創出を目指して、リサーチ・アドミニストレーター(URA)の整備など大学の研究マネジメントの支援が行われているが、先進諸国と比べれば、日本の研究大学の研究マネジメント体制は未だ十分とは言えない。そのため、海外の先進大学と日本の大学の研究マネジメントの比較分析を行い、日本の大学の現状と課題を分析し、課題解決のための方向性を提言することが本研究の目的である。2017年度は研究の初年度として、日本と米国の大学の研究マネジメントに関する基礎データを収集すると同時に欧州の研究大学にてフィールド調査を行った。また、2018年度は、その結果を整理し、学会にて発表を行った。日本や米国と同様、欧州においても競争的資金の数や規模が拡大しており、研究資金の受け手に課されるルールや規制も複雑化しており、大学や研究機関において支援制度を構築・強化する必要が発生してきた。これに対応して、スイスの大学においても、研究支援制度はニーズに合わせて各組織ごとに有機的に構築されていった。たとえばETHにおいては、もともと研究活動を管轄する副学長オフィスにあった機能が拡大し、リサーチアドミニストレーションを担当する独立したオフィスOffice of Researchとなった。一方、EPFLの場合、産学連携を推進するビジョンを掲げて学内施策を積極的に進めた学長のもとに、研究活動の支援組織化はある程度学内トップダウンの構図で構築されたことが分かった。日本の大学においても、近年、大学の上層部によるトップダウンの研究マネジメントを行う動きが認められているが、研究現場の実際のニーズに合わせて有機的な組織運営が求められると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は研究大学の研究マネジメントを分析対象とするが、特に以下の点を明らかにすることを目的としている。それは、①欧米の研究大学の研究マネジメントの全体像を把握する②詳細なフィールドワークにより、専門性の高い研究成果をイノベーションに結び付けるマネジメントシステムを探る③大学上層部のリーダーシップのあり方の三点である。2017年度は日本の大学と米国の大学の研究マネジメントに関する基礎データの収集を行うと同時に欧州の研究大学へのフィールド調査を行った。また、その結果を元に、2018年度においては、分析の結果を整理し、学会にて発表を行った。一定の研究成果が得られており、概ね順調に研究が推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、基礎情報の収集及び文献調査を行うとともに、2019年度の研究においては、米国の研究大学を対象にフィールド調査を行う予定である。具体的な分析項目としては、大学の知的資産を元にしたイノベーションの創出に関わる研究マネジメントを明らかにするため、大学と産業との産学連携活動、特に米国ではベンチャー創出に関わる大学の知的財産の保護及び活用に焦点を当てたフィールド調査を行うこととする。特にシリコンバレー地域においては大学の研究者が積極的にベンチャー企業を設立することに関わり、イノベーションが創出されていることは広く知られている。大学発ベンチャーに関する大学の研究マネジメントはベンチャー支援と同時に研究者に対して大学との関係で一定の制限が加えられていると考えられる。この両面に関して焦点を当て、大学の研究マネジメントについてフィールド調査を行う予定である。
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