研究課題/領域番号 |
17H04561
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
吉原 直樹 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (40240345)
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研究分担者 |
今野 裕昭 専修大学, 人間科学部, 教授 (80133916) [辞退]
橋本 和孝 関東学院大学, 社会学部, 教授 (90198672)
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 教授 (90271098)
松本 行真 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60455110)
三浦 倫平 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10756836)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 比較社会学 / 海外日本人社会 / 情報環境 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
当初の研究実施計画に即して、吉原と三浦はバリの現地調査を、また橋本と速水はシンガポールおよびホーチミン市の現地調査を実施した。またその成果を科研費研究会で報告した。 バリの現地調査/報告では、バリ日本人会が現地日本人社会では従来のような「中心」に位置するのではなく、バリ日本人がその内外で「多産多死」の状態で立ちあらわれては消えていく多様なアソシエーションに多重的に帰属するなかで、あくまでも「one of them」となっていることが明らかにされた。そしてネットワーク・コミュニティの跳梁とデジタル・コミュニケーションの日常的な凌駕が確認された。 他方、シンガポールの現地調査/報告では、相変わらずシンガポール日本人会が現地日本人社会の「中心」となっているものの、そこから分立する形で多様な同好会が叢生し、それらが部分的にシンガポール日本人の「生活の共同」をになう役割を果たしていることが明らかにされた。同時に、現地日本人社会が「企業移民」によって統率されていることが確認されるとともに、「ライフスタイル移民」主導のバリ日本人社会との異同が浮き彫りにされた。 なお、今年度の研究を通して、あらためてバリ、シンガポール、ホーチミン以外の日本人社会のありようにも目配りをし、比較社会学的な視点から事例対象地の特性を明らかにする必要性があることが認識された。そして複数回開催された科研費研究会でも、上記対象地以外の日本人社会(デュッセルドルフ、ロンドン、ペルー、ナイロビア等)のありようについて報告がなされ、その成果が2020年度の最終報告書に集約されることになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地研究協力者の病気および勤務状況の都合等によって、当初予定していた実施計画の一部(バリ現地調査)が実施できなかった。またそれに伴って現地研究協力者との打ち合わせもできなくなった。したがって実施計画全体に遅れが生じた。それとともに、補助金のうち一部を次年度に繰り越さざるを得なくなった。 しかし、それ以前の研究実施計画がほぼ当初通り順調進捗したこともあって(一部、遅れはあったものの)、遅れは当該年度だけに生じ、次年度以降において十分に取り戻せるという見通しが得られた。実際、以下の9.今後の研究の推進方策、でも示したように、場合によってはオンライン調査等を通してそれが可能であるという見通しが得られるまでになっている。いずれにせよ、最終年度の成果集約への準備が着々とすすんでおり、そのための打ち合わせ作業もメール審議等でおこなわれている。
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今後の研究の推進方策 |
8.で記したように、現在、最終的な成果集約に向けての作業は順調にすすんでおり、メール会議等で作業手順と集約の方向について、メンバー間ですでに確認している。もちろんこれまでにできなかった現地補充調査は依然追求していく心算であるが、いまのところ未確定である。その場合、オンライン調査で補填することも考えられるが、可能な手段と方法を講じて未遂の部分を補う/遅れを取り戻すことを検討している。 いずれにせよ、最終年度の成果集約(報告書の刊行―2021年2月末予定)に向けて鋭意作業に取り組んでおり、そのためのスケジューリングも確定している。なお、できれば刊行と同時に、成果をセミナーやシンポジウムで報告するか、それが適わない場合はデジタル・データとして公表することも考えている。
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