研究課題
研究課題の目的は、生殖医療、がん・生殖医療において、欧州、米国、南米、アジアなどの医療制度、社会文化、施設、患者、専門職の状況を把握し考慮した上で、全医療者による心理社会的ケア、心理士による心理カウンセリング、それらの多職種連携の状況を調査し(研究1)、患者・医療者・医療経済面の3方にとってより良くリーズナブルな医療システムとは何か(研究2)を明らかにすることである。 2018年度は、Asian Society of Fertility Preservationの各国代表者または国の状況をよく知る心理社会専門職者を対象とした研究を実施し、成果発表をおこなった。2018年度は、中国・上海、香港、台湾、インドネシア、日本、オーストラリア、インドの調査を実施することができた。調査を集計し第一報として学会発表した。10か国12人の回答を得た。結果では、1)がん・生殖医療のサイコソーシャルケアまたは心理カウンセリングが法律・ガイドラインに記載されている国はオーストラリア、香港、タイであった。それらの提供体制が整っている施設の割合は多い順にオーストラリア(全施設の51%以上が整備)、香港(31-50%)、インド(11-30%)であった。2)心理カウンセリングを担当する主職種は、心理士(日本、香港、オーストラリア、インド、中国・上海)、医師(タイ、インドネシア、フィリピン、韓国)であった。3)心理カウンセリングの平均的な料金は、50USD以下から600USDまで幅広かった。4)心理カウンセリング提供の主な障壁は、患者のメンタルヘルス診療に対するスティグマ(オーストラリア、中国・上海、台湾)、心理士の不足(インドネシア、フィリピン、タイ、インド)、医療体制(韓国、香港)、コスト(日本)であった。
2: おおむね順調に進展している
国内外の研究協力者のやむを得ない理由で研究への着手が遅れていたが、アジア・オセアニアの医療者調査を実施できた。
International Infertility Counseling Organization (IICO)の各国代表者を対象とした調査を行う予定である。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
日本がん・生殖医療学会誌
巻: 3 ページ: 57-62
日本生殖心理学会誌
巻: 5 ページ: 35-40