研究課題/領域番号 |
17H04569
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
伏木 久始 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (00362088)
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研究分担者 |
林 寛平 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (10726376)
坂田 哲人 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70571884)
山辺 恵理子 都留文科大学, 文学部, 講師 (60612322)
吉野 康子 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (50321435)
市川 洋子 敬愛大学, 国際学部, 教授 (40593588)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異学年混合方式 / 複式学級の授業改善 / 海外の小規模校 |
研究実績の概要 |
本研究は、異学年混合学級での教育方法が次世代型教育を推進していく上で好条件である事例を海外の先進校の調査より明らかにするとともに、その教育効果を高めるためのカリキュラムのあり方や教室環境、教材、指導方法等の条件を国際比較により整理することを目的としている。 今後増加が予想される複式学級を積極的な教育方法として位置づける教育理論と指導方法を日本の教育現場に提案していくための調査研究を行うものである。 初年度(平成29年度)は、6名の研究メンバーのうち5名が海外調査に出向き、異学年混合方式を採用している学校現場の事前取材を行った。研究代表者の伏木はフィンランド、研究分担者の林はスウェーデン、坂田はオランダ、また、アメリカをフィールドにした2名のうち、市川はミネソタ州、山辺はハワイ州の学校をそれぞれ訪問し、平成30~31年度の本調査に向けて基礎的なデータを収集した。 また、伏木は国内での複式学級方式を採用している小規模校の中で、和歌山県内の「きのくに子どもの村学園」や愛知県内の「半田市立宮池小学校」や長野県内の「グリーンヒルズ小中学校」等のオルタナティブ教育実践校へのフィールドワークを実施した。 研究グループメンバーが一堂に会して行ったミーティングでは、2年目以降の研究計画を再検討するとともに、各国の異学年混合方式がどのような理論的背景に裏付けられているのかを分析しつつ、日本国内での異学年混合方式による授業実践に向けての必要な作業を確認し合った。さらに、木曽町立三岳小学校を実験校として、異学年混合方式による国語の授業や理科の実験単元をテーマとした自由進度学習に加え、無学年制の自由選択ドリル学習を試行実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、異学年混合学級での教育方法の先進地域を取材し、映像データを含めた記録を集めて次世代型教育としての実践イメージを理論化し、日本国内の小規模校で実践研究を通してその有効性を検証するという方針で臨んでいるが、予定していた海外各国での学校訪問に関して、研究メンバーの訪問可能日程との調整がつかず、十分な予備調査ができなかった面があった。また、当初予定していたニュージーランドの小規模校への調査は、諸事情からオーストラリアの小規模校に変更したこともあり、そのフィールドワークが年度内に実現できなかった。以上のことから、研究の進捗が「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
この研究プロジェクトの2年目となる平成30年度は、オーストラリア、オランダ、スウェーデン、フィンランドの学校訪問を実現させ、フィールドワークによる調査データを集約するとともに、長野県内の「中山間地域リーディングスクール」(3地域)との連携協力体制を構築し、国内での異学年混合方式による次世代型学習の試行実践を進展させていく。 海外での対象校では、「異学年混合学級」を導入する教育目標とそれらの背景となっている教育理論、学校の教育課程と授業科目ごとのカリキュラムおよび担当教員の配置、具体的な授業方法(教師の役割)、学習者側の声(子どもへのインタビュー)について調査データを収集する。具体的な調査地は、①オーストラリア(ブリスベン市内/アデレード市内)の計4校と教育委員会<8月>,②ハワイの2校の調査<9月>,③スウェーデン(ウプサラ)とフィンランド(ユバスキュラ)の計4校の調査<10月>,④オランダ(ユトレヒト)の2校の調査<3月>,の5ヵ国を予定している。 これらの調査に先立って、7月には長野にて公開セミナーを企画し、小規模校における異学年混合(複式学級)の授業方法の新たな実践理論を議論する。それを踏まえて、下半期(10月以降)には次世代型学習とする自律的な学習の実践を、長野県栄村立栄小学校と木曽町立三岳小学校と飯田市立上村小学校における連携事業と協働しながら実践研究をすすめる。
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