研究課題/領域番号 |
17H04570
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山本 須美子 東洋大学, 社会学部, 教授 (50240099)
|
研究分担者 |
王 維 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (10322546)
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (80799114)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 教育人類学 / トランスナショナリズム / EU / 中国系新移民 |
研究実績の概要 |
本年度は、中国系新移民の流入が特に顕著なイタリアとスペイン、そして、フランスとドイツで各メンバーが調査を実施した。イタリアではベネチア等の週末の中国語補習校数校でのアンケート調査を実施することができた。その結果分析から中国系新移民の子どもはイタリア語の能力が低く、正規の学校に適応できず大学への進学率も低いことが明らかとなった。 スペインでは、2000年代以降に浙江省からの移住者が急増し、バルセロナとマドリードで集住地区が形成されている。調査では、中国語補習校や中国系教会の関係者への聞き取りから、中国系コミュニティが急激に拡大した経緯を把握した。さらに中国系の若者数人に教育経験を中心とするライフヒストリーの聞き取り調査を実施した。スペインで生まれても10代前半まで中国の祖父母の元で育てられてスペインに戻ってくる者が多いことがわかり、これはイタリアやフランスの中国系の子どもにも共通する点であった。そして、この慣行が移住先での学校不適応に繋がっていることがわかってきた。 フランスの調査ではパリ市内とオーベルヴィリエ市内で、ドイツではケルンとフランクフルトで、中国語補習校や中国系アソシエーションの関係者への聞き取りと中国系の若者数名へのライフヒストリーの聞き取りを実施した。フランスの中国系移民の中にはイタリアやスペインの中国系移民との間に親族関係や友人関係がある者もいて、3国間でトランスナショナルな動きがあった。ドイツの中国系新移民は、他国に比べてその存在が顕在化していなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度としてイタリア、スペイン、フランスとドイツでの調査をスタートさせたが、各国での調査が順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は各メンバーが今年度の調査を継続する。そして、研究会を開催して各メンバーが調査結果を共有し、トランスナショナルな分析を試みる。
|