研究課題/領域番号 |
17H04571
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
齋藤 雅子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (00434788)
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研究分担者 |
河合 由佳理 駒澤大学, 経営学部, 准教授 (20584501)
譚 鵬 中部大学, 経営情報学部, 講師 (70632280)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際会計 / 会計教育 / グローバル人材育成 / インドネシア / 地域研究 |
研究実績の概要 |
研究2年度にあたる2018年度については、調査活動を通じて学術的な論拠を深め、またすみやかに広く公表するという観点から、成果発表と調査拡大を目指し、活動を進めた。 まず本研究着想の起点となったインドネシアの会計人材育成をめぐる問題点を考察した成果を、雑誌発刊による単独発表に結びつけた。昨年度から連携協力者として活動に参加し、本年度から研究分担者として一役を担っている若手研究者2名と連携・協力し、段階的に研究成果の発表を行った。研究論文2点について、本年度中に目標としていた会計学関連学会における発表を行い、研究者からいただいた学術的な意見などを踏まえた加筆修正を経て、2018年度中に論文1点を発刊、もう1点の論文は2020年6月に発刊予定である。教材の発刊年により区分し、わが国における簿記・会計の初学者向け教材に関する特徴を検討したものであり、考察結果からモデル教材案策定に向けた1つの方向性を探ることができた。 研究初年度調査の有効性を高める目的で、ジャワ島の中部ジャワ州やジャカルタ特別州の大学訪問を追加した。現地の大学や研究者らの協力が欠かせないが、実施済のサンプルと合わせて本調査結果の検討を鋭意進めているところである。また本研究活動が現地訪問をきっかけとする双方の学術関係構築に貢献したといえる。 簿記教材の傾向分析を踏まえ、大学生の簿記会計の学習環境に関する実態調査の必要性を研究組織内で共有した。そこで、日本(東京、名古屋、大阪)の大学において大学生を対象とするアンケート調査を実施した。なお、2018年8月に予定していたインドネシア追加調査であるが、同年7月に西ヌサトゥンガラ州、9月に中部スラウェシ州において大規模地震が相次いで発生、調査日程および対象地域の見直しを行った。最終的には、繰越金制度の活用により2019年8月に実施を完了し、結果分析を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回インドネシア調査対象は、ジャワ島のジャカルタ特別州近郊並びに中部ジャワ州周辺であったが、訪問地域の物理的距離を勘案しつつ、当初計画の行程や訪問大学を見直すことで、計画予定地域における調査を目標どおり無事遂行できた点は大きい。進捗状況についてであるが、インドネシアで発生した大規模地震の影響等を考慮し、当初2018年8月に計画していた調査を次年度にて実施できたものの、サンプル入手からの分析作業にやや遅れが生じている。 複数の大学研究者の協力を得て実施した調査は、大学生の簿記会計スキル調査を主目的としたものである。現地訪問時には、調査に加え、現地教員や学生との交流、また意見交換の機会を得ることができた。その結果、調査分析に有効なサンプル入手と同時に、国際共同研究を通じた学術貢献となり、研究活動の意義をさらに向上させたといえる。サンプル入手も、地域の拡大によって分析における偏りをある程度平準化できたと認識している。 加えて、調査延期に伴い生じた時間を効率的に活用すべく、現地研究協力者並びに研究組織内で多岐にわたる研究上の着想や情報を相互に交換するなど、今後の研究活動のさまざまな方向性を探る活動につなげることができた。中でも、大学生の簿記会計スキル測定と並行して進めた簿記会計の学習環境調査は、まず日本の大学で行い、2019年8月のインドネシア現地調査時に現地語版を用いて実施するという活動の円滑な流れを作った。 単独での論文発刊による成果発表を実現したほか、若手の研究分担者と進めた、わが国の簿記教材に関する傾向分析の論文(発刊年別で2点)を発刊に結びつけたのと同時に、大学生の学習環境を調査する土台を新たに形成した。大学生の学習環境調査は、今後の日本とインドネシアの両国で活用できる教材構築に向けたモデル教材案作成の基礎的資料となり、次年度活動をより発展させる意義を有する。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年度にあたる2019年度については、モデル教材策定に向け段階的に移行していく。簿記会計の理解度把握を目的として、昨年度実施したわが国の大学生に対する簿記会計の学習環境調査を踏まえ作成したモデル教材案の試験的導入を複数の大学で予定している。なお、昨年度実施した簿記会計の学習環境調査に関する分析結果については、雑誌投稿等を通じて成果発表を計画している。 具体的な活動として、昨年度日本において実施した大学生を対象とする学習環境調査を、インドネシア現地で行う予定で、調査アンケートの現地語への翻訳を進めている。インドネシア訪問にあたっては、昨年度に計画していた現地調査の拡大と同じタイミングで行うことで、複数の大学や研究機関から協力を得やすくなり、サンプル数を確保可能となる。また行程日数の短縮化がはかられ、省コストかつ効果的な調査を実現できると考えている。訪問時期は、2019年度夏頃を予定しており、現地の大学や研究者らと詳細日程を調整する。2種類の調査を並行して円滑に進めるため、主担当を研究代表者と研究分担者でそれぞれ担い、準備や結果分析を進めやすくする。 研究初年度から実施したインドネシアにおける現地調査により得られた知見を土台に、モデル教材案を作成し、日本およびインドネシアの複数の大学において試験的に導入する計画である。具体的には、教材案導入後、学生の学習理解度を測定し、効果の検証を行う。研究遂行にあたっては、研究代表者並びに研究分担者が逐次連携しながら活動を進めるが、効率的な研究活動を意識しつつ、研究組織内で議論を深めながら、適宜計画を見直していく。 本研究においては、研究初年度から意識して学会発表等を通じた成果発信に努めている。次年度もこれまで同様、活動成果をできるだけ速やかにとりまとめ、学術雑誌等での発刊を計画中であり、引き続き広く社会へ成果を発信する活動を積極的に行う。
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