研究課題/領域番号 |
17H04574
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福井 暁彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (60632049)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 太陽系外惑星 / トランジット惑星 / TESS / 系外惑星大気 / ヘイズ |
研究実績の概要 |
本研究は、スペイン・テイデ観測所の口径1.5m望遠鏡に設置した4色同時撮像装置「MuSCAT2」を用いて、(1)太陽系外惑星探索衛星「TESS」で発見される惑星候補に対して大規模検証観測を実施し、効率的に本物の惑星を識別するとともに、(2)低温小型惑星の大気を系統的に調査し、主星から受ける紫外線の照射強度とヘイズの生成量との関係を明らかにすることを目指すものである。 TESSは2018年4月に打ち上げられ、最初の1年間に黄道座標における南天の探索を実施し、2019年7月より北天の探索を開始した。それ以降、毎月数十個の新たな惑星候補天体が発見・公開されており、本年度は主にそれら北天の惑星候補天体の発見確認観測をMuSCAT2を用いて集中的に実施した。それにより、本年度内に200天体以上の観測が実施でき、そのうち133天体の観測・解析結果について、TFOPと呼ばれる国際TESSフォローアップチームに報告を行なった。これらは惑星候補を段階的に絞り込む上での最初の段階にあたり、真の惑星を発見する上で非常に大きな貢献となっている。 また、それらの惑星候補のうち、低温度の恒星を0.5日という極めて短い周期で公転する惑星候補(TOI-263b)について、主にMuSCAT2の観測からその天体が巨大惑星もしくは褐色矮星であることを突き止めた(Parviainen et al. 2020)。さらに、ティーガーデン星と呼ばれる太陽系近傍(12.5光年)の低温度星を回るハビタブル惑星候補の発見にも貢献した(Zechmeister, M., et al. 2019)。その他、関連する研究成果の査読論文を10編出版した。 並行して、低温度の恒星を周る既知の海王星サイズの惑星(GJ436bやGJ3470b)について、その大気を調べるための観測および解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TESSは2019年7月に北天の探索を開始し、順次新たな惑星候補を発見・公開している。それらの候補天体のうち優先度の高い200以上の天体をMuSCAT2で観測し、惑星候補の絞り込みに大きく貢献出来た。また、低温度星を周る短周期巨大惑星(褐色矮星)など、ユニークな惑星の発見も行うことができた。惑星大気の観測および解析も並行して進められた。以上を鑑み、上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
TESSは2020年6月まで北天の探索を行い、その後延長ミッションとして再度南天の探索を開始する予定である。これまでに発見された北天の惑星候補のうち、未観測の天体も多数あるため、2020年度も継続して惑星候補の絞り込み観測を実施する。また、発見が確認された惑星の中から大気観測に適した惑星を選定し、並行して惑星の大気観測を実施する。 一方、新型コロナウイルス蔓延の影響により、今後しばらく現地での観測が出来ないと予想される。そのため、現地へのアクセスが可能になるまでは日本国内から遠隔での観測を実施する予定である。
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