研究実績の概要 |
TESSは2018年4月に打ち上げられて以降順調に観測を実施し、2020年7月にprime missionを完了、現在は第一期延長ミッションが実施されている。また、得られた観測データの中から2022年5月時点で5000個以上の惑星候補が発見された。 2020年度は新型コロナウィルス蔓延の影響により、スペイン・テイデ観測所に渡航して多色撮像カメラ「MuSCAT2」を用いた惑星候補天体の観測および観測装置の保守作業を実施することが困難となった。また、現地観測所内でも新型コロナウィルスの濃厚接触者が発生し、観測所が閉鎖される期間が生じた。そのため、研究に必要なデータが得られるよう研究期間を翌年度まで延長した。一方、2021年度も引き続き現地への渡航は出来なかったが、2019年度までに国内から遠隔観測を実施する環境を整備済みであったため、観測については遠隔にて実施することが出来た。観測装置の保守作業については、現地研究機関(IAC)の共同研究者に協力を仰いだ。 その結果、当該年度(延長期間含む)に合計200天体以上の惑星候補天体について発見確認のための観測を実施することが出来た。また、それらの候補天体の中から本物の惑星と確認出来たものについて順次国際協力で論文化を進め、大気観測に適した太陽系近傍の低温小型惑星を含む、合計39個の新たな惑星の発見を報告した(計20編の査読論文として出版)。さらに、惑星の大気を調べる観測も並行して進め、2つのホットジュピターWASP-104bおよびWASP-74bにおいて、大気中にヘイズの存在が示唆される結果を得た(Guo et al. 2020, Luque et al. 2021)。
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