研究課題/領域番号 |
17H04579
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
増田 周平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー (30358767)
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研究分担者 |
小林 雅人 横浜商科大学, 商学部, 教授 (20195811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海洋物理・陸水学 / 国際協力 / 海洋科学 / 気候変動 |
研究実績の概要 |
2015年に各地で異常気象を引き起こしたエルニーニョ現象は2016年末にはラニーニャ現象に遷移することが予報され、エルニーニョ・サイクルの不規則性がますます際立ってきた。本研究ではこれまで独立して実施されることが多かった沿岸と外洋の観測を連携して実施、近年のエルニーニョ・サイクルの変遷の原因を明らかにすることをめざす。平成29年度はペルー沿岸域での継続観測の実施と外洋域での亜表層観測の準備を行った。 具体的にはこれまでに継続的に実施していたペルー沿岸でのデータロガーを用いた水温観測を充実させながら、電気伝導率ロガーを用いた沿岸の塩分観測を実施した。実施には現地研究協力者のラ・モリーナ国立農科大学水産学部Luis Icochea教授の協力を得た。電気伝導度ロガーに関しては、海洋研究開発機構の試験バス、塩分検定装置などを活用することで事前検定を高精度で行っている。 平成29年8月、平成30年2月の2回、海外調査を行い、予定していたペルー沿岸の観測地点8か所を中心にこれまでの水温データを回収・確認するとともに新たな水温・電気伝導率ロガーを設置することができた。また、並行して水温の鉛直分布観測も実施した。 外洋の観測としては、現地船舶事情などの関連で平成29年度中の投入ができなかったため、深海型自動昇降型ブイのデータ送信機能確認のための通信試験などを行い陸上での準備を整えた。また、ブイ投入予定海域付近のArgoフロートデータの解析を実施した。深海型自動昇降型ブイは平成30年12月に海洋地球研究船「みらい」にて投入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沿岸観測としてペルーでのロガー観測とそれに付随する渡航調査を2回実施し、データを取得できた。また、外洋観測として、深海型自動昇降型ブイの投入準備を完了し、平成30年12月に当該海域に投入した。投入までの期間は周辺海域のArgoフロートでモニタリングを続け、外洋の海洋環境把握を実施することでカバーした。深海型自動昇降型ブイの疑似係留観測の検証に関しては、平成31年からの観測でも本研究の取りまとめ時期には間に合うと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、ペルー沿岸にて時系列水温・塩分データを継続して取得する。そのためデータロガーの回収・設置を、平成30年度に2回(7-8月、2月)、ペルーに渡航して行う。その後も引き続き年2回の渡航調査にて継続的な沿岸データを取得する予定しており、現地研究協力者との調整を行っている。 平成30年度12月に、海洋地球研究船「みらい」にて投入の深海型自動昇降型ブイを用いて疑似係留観測を実施しつつ、Argoフロートデータなども活用しながら、外洋での海洋亜表層変動を把握する。深海型自動昇降型ブイのデータが蓄積した時点で、沿岸、外洋のデータを比較し、科学的知見を獲得する。
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