研究課題
近年タイで侵略性の高い外来魚‘ピーコックバス’が野外で確認され在来水域生態系に悪影響を与える懸念がある。調査地はラヨーンとした。胃内容物調査から本種は魚類数種とテナガエビ類を捕食し、窒素・炭素安定同位体比分析の結果、小型個体から食物網の最高次に位置し肉食性在来種と競合する可能性が高く、本種は調査地においては侵略性が強いと推定された。また、稚魚も確認されすでに定着していることが分かった。本種の定着場所は人工的な貯水池だが、これに隣接する環境はタイ唯一の泥炭湿地で中心部は国立ラヨーン植物園の管理する極めて貴重性・希少性の高い場所である。この湿地で得られる魚介類や植物等の水産資源を利用する地域住民も多く、さらに、この場所の水を周辺の村落が上水として使用している。アンケート調査の結果地域住民のこの湿地に対する関心、および、ここから得られる生態資源の持続的利用への期待も高かった。一方、本種の生息する貯水池は水産資源利用はゲームフィシング以外殆ど無く、周回道路でのジョギング等憩いの場所として利用される頻度が高かった。2018年10月特定外来魚指定を統括する水産局職員参加のもと、カセサート大学で外来魚を対象としたタイ初の国際セミナ-、および、2019年1月ラヨーン植物園で同様の公開セミナーを開催した。2020年1月には公開国際シンポジウムをカセサート大学で、外来種調査部局、特定外来種法策定部局等職員らの発表も交え、2月はラヨーン植物園で“タイの外来魚問題―私たちはこれから外来魚とどうつきあうのか―(タイ語)”を開催した。これらの席上で、調査地と周辺水域の生態系サービスの利用状況と本種における高い侵略性の可能性を文理融合的な視点から考慮し、保全生態学の予防原則に則った対策を行い、現在の生息地から他の場所への放流は厳禁とし、将来の駆除の可能性に資する早急な学術調査実施の必要性を提言した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (3件)
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