研究実績の概要 |
6月と7月に2度,韓国東部~南部の41サイト(Tongdosa, Geojedo, Namhaedo, Dolsando, Yeosu, Jirisan, Baegunsan, Chunchon, Hyangnobong, Odaesan, Taebaeksa, Sobaeksan等おいて,それぞれ3~4サイトずつ)にて調査を行い,計206個体の採集を行った. 得られたサンプルにもとづき,雌雄交尾器形態と精巣サイズ,付属腺サイズの定量を進めた. 得られたサンプルと既存のサンプルを合わせた約100個体について,ミトコンドリアND5遺伝子と核PepCk遺伝子の配列を決定し,分子系統解析を行った.その結果,遺伝子レベルの系統樹は集団ごとにまとまらず,集団分化が新しいことによる祖先多型の影響を強く受けていることが示唆された.その結果を受け,multispecies coalescent法による集団レベルの系統樹を構築したところ,朝鮮半島内のツヤオサムシは大きく分けて3系統に分かれ,それぞれ北部+済州島(交尾器は比較的小型),南部(交尾器の巨大化が生じた集団を含む),北部の一部(Myongjisanのみ)が独立な系統を形成した.北部の一部だけに見られた系統は別種Eucarabus angustusの可能性があるため,形態の精査を進めている. 解析作業のため,調査の前後に江原国立大学のJong Kuk Kim教授の研究室に滞在し,共同研究の進めかたの議論と,実動部隊である先方の大学院生Tae Woon Jang氏に対する指導を行った.また,2018年1月~2月に,Jang氏を神戸大学に招き,分子系統学的解析の指導を行うとともに,共同で解析にあたった.
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