研究課題/領域番号 |
17H04614
|
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
Matthews Peter 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 教授 (70281590)
|
研究分担者 |
池谷 和信 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (10211723)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Colocasia / アジア / コメンサルワイルド / 野外調査 / DNA分析 / 葉緑体ゲノム / 栽培化 / 交雑種 |
研究実績の概要 |
(a)サトイモの自生群におけるDNA配列変異の分析 台湾、フィリピン北部ですでに収集していたColocasia formosanaの標本についてDNAを抽出し葉緑体と核の遺伝子座のプライマーを使い配列を得た。これにより、 C. formosana と他のColocasia 種を識別することが可能になり、また、C. formosana内にかなり多様性があり、フィリピンのものは台湾で広範に見られる変異株と最も類似性があることがわかった。台湾とフィリピンの類似性と地理的隔離はこの共通して見られる変異株が年代的に古いもので長く安定していることを示す。アジア太平洋地域の栽培種についてこれまでに出版したデータと比較すると、栽培種は選択、栽培化、拡散を通じて厳密な遺伝子の隘路を通過したことを示している。
(b)野外調査と標本収集 ベトナムと中国南部のメコン川流域、紅河流域、珠江流域で野外調査を行い標本を収集した。形態学的特徴とColocasia種の同所性から、交雑種とみられる自生群がベトナム北部と中国南部で見つかった。また、自生する野菜として、豚の餌としてコメンサルワイルドなサトイモが利用されていることが確認できた。これらの標本についてはDNAの抽出を開始しており、葉緑体と核の遺伝子座のシーケンシングに取り掛かるところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナムと中国における野外調査では、地元の研究者たちの協力によりたいへん成果をあげることができた。 実験室ではさらに大量の標本を試験し、出版に要するデータを得るのに適した手法を確立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
(a)2018年度にはタイ、ミャンマー、インドでの野外調査を計画しており、これらの野外調査で必要となる現地研究者との対応が進行中である。
(b)ベトナムと中国の4つの地域で収集した多くの標本が利用可能であり、サトイモの栽培化はどこで起こったのか、この種が栽培化されるときの交雑の役割、栽培型植物あるいはコメンサルワイルドな植物としてどのように拡散したのかについての仮定を検証することを目的としてこれらの標本を分析していく。
|