研究課題
1.米国イリノイ大学および北海道大学等で実施された国際共同研究に基づいて選定されたススキ属(Miscanthus spp.)のコア集団、計60系統が、海外共同研究者のイリノイ大学EJ Sacks博士から、ユタ州に位置するブリガムヤング大学のJR Stewart博士にMTAを取り交わし、材料の送付が前年度に行われた。そこで、本年度からススキ系統に関して形態的調査が開始された。2.土壌センサーと電磁弁制御による最適な耐乾性評価手法を前年度に確立したが、本年度は降雨を遮断した施設でススキコア集団系統について同方法により、再度、耐乾性に関する特性の調査を実施した。その結果、同手法の安定性を明らかすることができ、耐乾性に優れる系統として、Miscanthus sinesis 'UI10-00020'と'UI10-00024' を選抜することができた。両系統とも葉の幅が狭い形態的特徴があった。植物光合成総合解析システム(Li-6400XT)を用いて、干ばつ条件で光合成能特性関連のパラメーターの計測を行った。その結果、耐乾性に優れる両系統は干ばつ条件でも高い光合成能を示すことを明らかにすることができた。耐乾性に優れる系統は一般には葉の細いものが多いが、中には幅が広い系統もあり、次年度に、その系統を含めながら、耐乾性に優れる系統と耐乾性に劣る系統間で、生化学的成分の違い及び遺伝子発現の特性を明らかにする。3.ススキ(Miscanthus sinensis)およびオギ(Miscanthus sacchariflorus)とサトウキビとのそれぞれの雑種であるミスケーン植物体を養成した。次年度、耐乾性に関する特性調査や遺伝子発現等に関して実験を実施する。4.ブリガムヤング大学でアガベの耐乾性特性調査が開始された。
2: おおむね順調に進展している
2年間の研究から、土壌センサーと電磁弁制御による耐乾性評価手法は安定した手法であることが明らかにでき、耐乾性に優れるススキ系統を選抜することができ、また、干ばつ条件での光合成能が優れていることを明らかにできた。ブリガム大学での評価も順調に経過している。
1.北米ユタ州に位置するブリガムヤング大学の調査結果と北大での土壌センサーと電磁弁制御による耐乾性評価手法による結果を最終的に比較する。2.耐乾性に優れる系統と耐乾性に劣る系統間で、生化学的成分の違い及び耐乾性関連遺伝子における遺伝子発現の違いを明らかにする。3.ススキ(Miscanthus sinensis)およびオギ(Miscanthus sacchariflorus)とサトウキビの親系統とその雑種の耐乾性を比較するとともに遺伝子発現の比較を行う。4.アガベ系統の耐乾性に関する順位付けを行う。
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Global Change Biology Bioenergy
巻: 11 (10) ページ: 1125-1145
doi.org/10.1111/gcbb.12606
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/gcbb.12588
10.1111/gcbb.12615