研究課題/領域番号 |
17H04618
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40379285)
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研究分担者 |
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
佐々木 和浩 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 任期付研究員 (70513688) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イネ / 病害 / 微生物 / ベトナム |
研究実績の概要 |
(1)ベトナムにおける白化病発生状況調査 ベトナムの研究協力者からの白化病発生の報告に基づき、2017年12月に研究代表者らがベトナムへ渡航して圃場調査を行なった。白化病の発生が多発しているVinh Long省の約100圃場を調査し、病害発生5件を確認した。農家への聞き取り調査の結果、病害発生時には低気温で雨の日が続いていたこと、前作からの休耕期間が短く、収穫後の稲株は生のまま(焼却せず)土壌に鋤き込んだこと、などが共通項目としてあげられた。イネ種子は自家採種ではなく購入しているとのことであったが、品種や購入先などについては現在ベトナムの共同研究者が調査を続けている。 (2)白化病罹病イネからの微生物の単離と接種試験による白化病菌の確定 病害発生圃場で採取したイネから微生物を単離した。今年度は病原菌の可能性が高いMethylobacterium属細菌を中心に単離を行なった。これまでに約50株のMethylobacterium属細菌の単離に成功した。一部をイネに接種して病原性を確認したところ、白化病を誘導するものを6株確認した。16S rRNA遺伝子配列を解析した結果、全6株が私たちが先に分離していた白化病菌VL1株と同様にMethylobacterium indicumに最も近縁であることが判明した。この結果はMethylobacterium indicumがベトナムでイネ白化病を起こす原因菌株であることを強く裏付けるものであった。 (3)VL1株の全ゲノム配列解析 新学術領域研究『学術研究支援基盤形成』・先進ゲノム支援(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム)の支援を受け、VL1株の全ゲノム配列を決定した。非病原性の近縁株とのゲノム比較により病原因子の同定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
困難が予想され、数年間かかると予想されていた白化病罹病イネからの原因微生物の単離と接種試験による確定に成功したことは大きな進展といえる。また、VL1株の全ゲノム配列も予想以上に早く決定できたことで、今後の病原因子同定や白化病菌検出法開発の研究への道筋もつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き(1)ベトナムにおける白化病発生状況調査および(2)白化病罹病イネからの微生物の単離を継続するとともに、全ゲノム解読を完了した白化病菌VL1株と、新しく分離した白化病菌、および近縁の非病原性株の比較ゲノムを行い、病原遺伝子の同定を行う。さらに、白化病菌特異的なゲノム領域を用いて、PCR法やLAMP法による白化病菌検出法を開発し、最終的には、土壌、種もみ、植物体の微量サンプルから白化病菌を検出することを目指す。
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