本研究では、ベトナムで発生するイネ白化病の病原菌の解析と現地での発生状況調査を行い、防除方法開発へ向けた基盤形成を行うことを目的としている。今年度の実績は以下のとおりである。 (1)白化病の原因遺伝子を同定するため、白化病菌VL1株にトランスポゾンを挿入した変異株を4000株以上作成してイネに接種し、白化病症状を失った変異株を3株取得した。この3株の変異株について、トランスポゾンの挿入位置を突き止めた。挿入位置にある遺伝子情報から、白化病との関連を解析しているところである。 (2)白化病誘導活性があるCMS培地(ショトウ添加ムラシゲスクッグ培地)の培養上清を用いて、種々のカラムや溶媒抽出により分画・精製を試みた。現在までに、種々の溶媒抽出で部分的に精製した画分が白化病誘導活性を残したまま濃縮されていることを確認している。今後、さらなる精製と質量分析、NMR等を組み合わせた白化病毒素の同定を目指す。
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