研究課題/領域番号 |
17H04623
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
市榮 智明 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (80403872)
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研究分担者 |
市岡 孝朗 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40252283)
松岡 真如 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (50399325)
北村 俊平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (60549674)
山下 聡 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (70450210)
田中 憲蔵 国立研究開発法人森林研究・整備機構, その他部局等, 主任研究員 等 (30414486)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱帯二次林 / 生物多様性 / バイオマス / 植生回復 / マレーシア |
研究実績の概要 |
熱帯林は生物多様性や炭素固定などの生態系サービスに大きく寄与する重要な生態系である。しかし、伐採や農地開発等の人為的攪乱により、残存する熱帯林の多くが既に二次林に変化している。熱帯林の持つ多様な生態系サービスを持続的に享受するためには、熱帯二次林の適切な維持・管理技術の確立が求められる。本研究は、攪乱後の経過年数や立地環境の異なるマレーシアの様々な二次林で調査を行い、バイオマスや生物多様性の回復に影響を及ぼす要因を特定することを目的としている。今年度は、マレーシアサラワク州の各地に点在する熱帯二次林でのプロット設定、及び植生調査を中心に行った。 具体的には、マレーシア・サラワク州の土性の異なる3地域(サバル・アペン・バタンアイ)において、焼畑後の放置年数の異なる様々な二次林で調査を行った。3地域合計13カ所の二次林に、20×20mの調査プロットを設置し、植生(種同定、胸高直径)や土壌(含水率、pH、EC、全炭素、全窒素、可吸態リン)、林内の光環境等を調べた。また、各プロットの最大サイズの個体から木部コアを採取して材中心部の14C年代を調べ、プロットの林齢を推定した。 その結果、熱帯二次林のバイオマス量は、ばらつきは大きいものの林齢とともに増加傾向を示し、放棄後90年で300Mg/ha程度と、原生林には劣るが比較的大きな値を示した。現状で得られたデータを用いた一般化線形モデルによる解析では、攪乱後のバイオマスの回復は、土壌肥沃度(可吸態リン酸量)や土壌水分含量、林齢の影響が大きく、樹木の種多様性は、土性の影響が大きかった。次年度以降は、さらにプロット数を増やすとともに、植物だけでなく、昆虫、哺乳類、菌類の多様性についても調査を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年次として、当初予定していた調査はおおむね終了することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、マレーシア・サラワク州に加え、マレーシア半島部やブルネイなど、東南アジアの熱帯地域の広域において、土壌の母岩や元の植生、過去の伐採履歴などが異なる様々なタイプの二次林でのプロット設定を継続し、植生調査や林内環境に関する調査を行っていく。あわせて、昆虫類・哺乳類・菌類に関する調査をそれらのプロット周辺で行い、熱帯二次林の環境が生物多様性や生物現存量に及ぼす影響を評価するとともに、影響評価のための簡便手法の開発に取り組む。
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