研究課題/領域番号 |
17H04628
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 教授 (60340767)
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研究分担者 |
杉村 和彦 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)
池上 甲一 近畿大学, その他部局等, 名誉教授 (90176082)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アフリカ農村研究 / 農牧社会 / 持続的土地利用 / 土地収奪 |
研究実績の概要 |
令和元(2019)年度においては、代表者の鶴田格は、これまで研究拠点としてきたドドマ州を8月に訪問し、政府主催の農業祭において農業・環境政策の最新動向に関する資料収集をおこなったほか、調査に協力いただいている現地NGOのEGAJとの情報交換をおこない、さらに定点調査を続けてきたMajeleko村において村人から当該年度の農業、牧畜、植林の状況について聞き取りをおこなった。 研究分担者の杉村和彦は、同じくドドマ州の調査村を9月に訪問し、農地の条件(休閑期間など)を念頭におきながら土地生産性についての聞き取り調査を行った。その結果、全体として均等なように見える農牧民の農業においても、土地の条件によってその生産性は大きく異なり、単位面積当たりの収量に十倍以上の差がつくことが判明した。その規定要因としては、雨量と、土地の肥沃度が考えられる。後者に関しては、灌木が覆っているような場所では、かなり生産性が高い場合がある。 また分担者の池上甲一は、5月に国連食糧農業機関(FAO)の本部で開催された「国連家族農業の10年」(UNDFF)の開会式に参加し、資料を収集するとともに、参加者との意見交換を行った。全体会議ではFAO、国際農業開発基金(IFAD)の事務局長、国連総会議長のほか各国の農民、漁民、遊牧民、先住民などから報告があり、それぞれの家族農業に対する捉え方の一端を把握することができた。 令和2年度および令和3年度においては、新型コロナ感染拡大のために渡航ができなかったため、現地NGOのEGAJとオンラインで打ち合わせたうえで、従来から実施しているMajeleko村での植林プロジェクトをEGAJのサポートのもとに実施することができた。その結果、令和2年度は2,861本の植林用苗、令和3年度は4,166本の苗を村人に配布することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タンザニア、ドドマ州でこれまで定着調査をおこなってきたMajeleko村において、これまでと同様のデータ収集がある程度進んだとはいえ、新型コロナの感染拡大によって2年間現地調査を行うことができなかったため、データのアップデートが滞っていることは否めない。他方で渡航できない期間を利用して、これまで収集したデータの入力と整理をある程度進めることができた。 これまで現地で実施してきた植林プロジェクトについては、研究代表者と分担者がこの2年間タンザニアに渡航できなかったにもかかわらず、協力関係にある現地NGOの支援をえて、オンラインで意見交換をしながらスムーズに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3(2021)年度までの調査・研究を踏まえて、鶴田、杉村によるMajeleko村およびMbelezungu村でのデータ収集を続ける。これまでのテーマに沿ったデータ収集につとめるとともに、植林プロジェクトをはじめとする実践的なプロジェクトの実施にも可能な範囲で取り組んでいく予定である。とりわけ(1)持続可能な農牧複合のあり方の模索、(2)無農薬での換金作物(野菜)生産、という2つのテーマに関わる実践について、何らかの見通しが得られるように取り組んでいきたい。 今年度は最終年度である。これまでの研究の集大成としての書籍の出版、『アフリカ研究』など学術雑誌での特集号の実現にむけて取り組んでいく。
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