モンゴルでは牧畜民の地域的な集中と家畜頭数の増加により草原の荒廃が進行するおそれがある。これまで一部の援助団体は共有草原の割り当てや個別化を推進してきたが、そのほとんどが定着していない。本研究は、遊牧を維持しつつ、牧畜民の社会規範を形成することによって持続的な草地利用を行う可能性を探った。牧畜民の草原利用に関する社会規範の形成要因を推定するため、複数の地域でランダムサンプリングによる草原利用に関するインタビュー調査および経済実験を行い、データを用いた計量経済分析を行った。その結果、社会経済条件によりモンゴルの牧畜民は草原保全に関する社会規範を持ちうることが示された。
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