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2018 年度 実績報告書

フィリピン・インドネシア島嶼におけるマメヤギの遺伝学的調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H04643
研究機関神戸大学

研究代表者

万年 英之  神戸大学, 農学研究科, 教授 (20263395)

研究分担者 山縣 高宏  名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50242847)
高橋 幸水  東京農業大学, 農学部, 助教 (50408663)
笹崎 晋史  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50457115)
野村 こう  東京農業大学, 農学部, 教授 (60277241)
西堀 正英  広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (80237718)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードヤギ / マメヤギ / フィリピン / インドネシア / 遺伝的多様性 / 起源 / 伝播
研究実績の概要

古来、東南アジアではマメヤギと呼ばれる在来ヤギが飼育され、これは東南アジアの気候・環境に良く適応した貴重な遺伝資源である。しかし、近年インド品種の遺伝子流入により東南アジア大陸全域で交雑型が浸透し、古来系統のマメヤギが姿を消しつつある。フィリピンとインドネシアは東南アジアの島嶼からなる国々で、地理的にインド品種導入の影響を受けにくく、大陸の在来家畜とは一線を画す遺伝的多様性・構造を有すると考えられる。そこで本研究では、フィリピンとインドネシアに対して在来ヤギの調査を実施し、両国における在来ヤギの形態学的調査からマメヤギの飼育保全状態を把握し、加えて遺伝学的調査から遺伝的多様性や構造を明らかにする。その成果は、マメヤギの遺伝資源保全施策に加え、ヤギの起源・伝播に新仮説を提起できる。

本年度はフィリピンとインドネシアの2か国を対象とした調査を行った。フィリピン:①パラワン島(プエルトプリンセサ)、②ミンダナオ島(ダバオ)。パラワン島では30頭(雄27頭、雌3頭)、ミンダナオ島では30頭(雄16頭、雌14頭)、合計60頭に対する血液試料収集を実施した。これらはすべて共同研究先であるUPLBにおいてDNA精製を実施した。インドネシア:①スラウエシ島(ハサヌディン)。スラウエシ島では17頭(雄16頭、雌1頭)に対する血液試料収集を実施した。これらはすべて共同研究先であるハサヌディン大学においてDNA精製を実施した。これらDNAは日本に持ち帰り神戸大学および東京農業大学で保存している。また、これら試料収集した個体に対しては、聞き取り調査、外部形質の調査を実施している。外部形質の調査では、性、毛色(色、班)、顔面の形状(ローマンの有無)、耳の形状(直、垂)、角、肉髯、毛髯、体高を記載した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成31年度のインドネシア本調査を実施するために、平成30年5月にハサヌディン大学を訪問しMoUを無事に締結した。また、予備調査として在来ヤギ・マメヤギの聞き取り調査、および予備的な試料取集も実施した。

本年度はフィリピンとインドネシアの2か国を対象とした調査を行った。フィリピン:パラワン島では30頭(雄27頭、雌3頭)、ミンダナオ島では30頭(雄16頭、雌14頭)、合計60頭に対する血液試料収集を実施した。これらはすべて共同研究先であるUPLBにおいてDNA精製を実施した。インドネシア:スラウエシ島では17頭(雄16頭、雌1頭)に対する血液試料収集を実施した。これらはすべて共同研究先であるハサヌディン大学においてDNA精製を実施した。これらDNAは日本に持ち帰り神戸大学および東京農業大学で保存している。また、これら試料収集した個体に対しては、聞き取り調査、外部形質の調査を実施している。外部形質の調査では、性、毛色(色、班)、顔面の形状(ローマンの有無)、耳の形状(直、垂)、角、肉髯、毛髯、体高を記載した。

平成30年度は予定通り、フィリピン2島、インドネシア1島に対する在来ヤギ、マメヤギの聞き取り調査と血液試料採取を実施している。また、分析対象となるY染色体の多型調査を行うために雄個体の頭数も十分に確保することができた。インドネシアで収集したDNA試料に対してはmtDNA分析を開始しており、mtDNAハプログループBが約80%存在するという予備調査結果を得ており、申請者の豆ヤギに対する仮説を裏付ける結果となっている。平成30年度のフィリピン調査は平成31年2月22日~3月6日の間で実施したため、DNA分析の実施は平成31年度を予定しているが、現在その解析のための準備を進めているところである。

今後の研究の推進方策

平成29-30年度に得られた外部形態の統計解析とDNA多型解析を、分担研究者各々の研究室で行う。平成29-30年度に得られたDNA試料の一部に対しては、既に分析が行われ、一定の成果を得ている。例えば、フィリピン在来ヤギに対して平成29年度調査分のmtDNA解析とY染色体解析が終了している。インドネシア予備調査では、インドネシア在来ヤギはKachangとMarichaの2在来品種が存在している一方、エタワやボアなどの外来輸入品種も導入されつつあることが明らかになった。頭数は少ないが、インドネシア在来ヤギ(KachangとMaricha)に対するmtDNA解析結果が得られ、mtDNAハプログループBが極めて高い頻度で検出されたことから、申請者の仮説が妥当であることを裏付けることができた。したがって、平成31年度のインドネシア調査では、在来品種であるKachangとMarichaに対するサンプリングを中心に調査を実施する予定である。

平成31年度の調査対象地は、インドネシア、スラウエシ島周辺地域として在来ヤギの諸調査を実施する(9月)。インドネシア、スラウエシ島では、南スラウエシを中心に、パダン・ドラジャ地域を対象として調査を行う。現在、カウンターパートと調査地域に対する連絡・相談をしているところである。現地調査においては、聞き取り調査、外部形質調査、血液試料採取を行い、共同研究者研究室でDNAの抽出を行う予定である。

DNA解析については、平成29年度に得たDNA試料に対しミトコンドリアDNA、SRY、マイクロサテライト、SNPなどの種々のDNA分析を実施する。解析結果に基づき、フィリピン・インドネシア島弧における在来ヤギの遺伝学的特性を明らかにし、東南アジア固有のマメヤギの遺伝子資源保全策、および家畜ヤギの起源・伝播について考察する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [国際共同研究] University of Philippines, Los Banos(フィリピン)

    • 国名
      フィリピン
    • 外国機関名
      University of Philippines, Los Banos
  • [国際共同研究] Hasanuddin University(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      Hasanuddin University
  • [雑誌論文] The Eurasian Steppe is an important goat propagation route: a phylogeographic analysis using mitochondrial DNA and Y-chromosome sequences of Kazakhstani goats2019

    • 著者名/発表者名
      Tabata R, Kawaguchi F, Sasazaki S, Yamamoto Y, Bakhtin M, Kazymbet P, Meldevekob A, Suleimenov MZ, Nishibori M, and Mannen H
    • 雑誌名

      Anim Sci J

      巻: 90 ページ: 317-322

    • DOI

      10.1111/asj.13144

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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