研究実績の概要 |
本研究代表者は、平成18年度から12回インドネシアのマナドを拠点として、熱帯サンゴ礁海域での薬用海洋資源の調査研究を行ってきた。そして、本研究代表者の研究室において、採集した海洋生物・微生物の抽出物を用いて各種生物活性試験を行い、多くの新規生物活性物質を発見することに成功している。そこで本研究では新たに、熱帯サンゴ礁海域の中でも、上記の海域とは環境の異なるタイでの薬用海洋資源の調査研究を行うことを計画した。海洋生物や植物の組織中には微生物が共生していることが多く、それら微生物が特異な生物活性を示す二次代謝産物を生成していることが多い。そのような生物活性物質は、医薬品シーズの有力な候補となる。医薬シーズが植物や海洋生物の場合、シーズを供給するためには植物の採集・栽培あるいは海洋生物の採集を行う必要があるが、資源が微生物の場合には必要な時に必要な量を培養により供給できる利点がある。当初の計画では、Chulabhorn Research Instituteの共同研究者とともに薬用海洋資源の調査研究を行う予定であったが、前王の死去による服喪中だったため、ブラパ大学(Burapha University, Chonburi, タイ)の共同研究者とともに、調査研究を行うこととした。そこで平成30年1月に、連携研究者である当研究室助教の加藤光博士が、植物内生菌を単離するため、マングローブにおいて植物を採取し内生菌の単離を行った。
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