研究課題/領域番号 |
17H04654
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 医療科学研究科, 教授 (30263015)
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研究分担者 |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
村田 真理子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (10171141)
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (80511914)
栃谷 史郎 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (90418591)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胆管癌 / 肝吸虫 / 炎症 / 発がん / 癌幹細胞 / 分子疫学 / バイオマーカー / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
川魚を生で食べる習慣がある中国西江流域とタイ東北部やラオス中南部にかけてのメコン川流域は、肝吸虫の感染率が高く、胆管癌の多発地域である。平成29年度は、タイと中国で肝吸虫関連肝内胆管癌患者の生体試料収集を行った。インフォームドコンセントを得て、タイおよび中国の肝吸虫患者から手術検体を採取した。新規がん幹細胞バイオマーカー発現に注目し、タイの肝吸虫(OV)と中国の肝吸虫(CS)の肝内胆管癌患者群の病理組織において、有意に差があるがん幹細胞バイオマーカーを見出した。CS関連発がん91症例の中には肝癌合併慢性B型肝炎症例が多く、胆管癌の発症は2割程度であった。OV関連肝内胆管癌患者の検体は78症例を収集した。これらの検体からOVとCSに関連する胆管癌の新規がん幹細胞マーカーの検索を行った。OV、特にCS関連胆管癌細胞において、局在と高発現がみられるがん幹細胞マーカーを確認した。今までのOV研究結果を踏まえて、CS関連胆管癌細胞にニトロ化DNA損傷、炎症バイオマーカーなどの増強を確認した。また、CSは中国において現地調査を行い、西江流域の淡水魚から得たCS幼生のメタセルカリアをSDラットに経口感染させることに成功した。CS感染による発癌過程との関連性および予後因子としての役割の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は予定通りに研究を行った。中国のCSおよびタイ国のOV流行地域において、肝吸虫に関連する肝内胆管癌患者の癌組織および一部血清サンプルの採集、新規癌幹細胞マーカーおよび炎症バイオマーカーなどの免疫染色の観察・データ解析は順調に進んでいる。中国のCS感染淡水魚からメタセルカリアをSDラットに経口感染させ、CS感染実験動物モデル作製に成功したことから、今後、胆管癌患者のサンプルに加えて、動物モデルをもちいて、感染過程における発がんバイオマーカーの変化を解析する研究が実施可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
調査地域において、肝内胆管癌患者の癌組織・血清および感染者のサンプルを収集し、発がん関係バイオマーカーを測定する。また、我々が蓄積したOVと胆管癌に関する分子疫学的研究成果をもとに比較することにより、CSのB型肝炎重複感染やCS感染の流行状況、胆管癌の発生状況、他リスク因子の寄与度と胆管癌との相関を分析する。CS関連胆管癌やリスク要因とバイオマーカーとの関連を解析し、CSとOVに共通するマーカーを選別し、感染・炎症関連発がんのリスク評価の応用をめざす。
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