研究課題/領域番号 |
17H04655
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
|
研究分担者 |
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90081661)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 砒素中毒 / 悪性腫瘍 / Bowen病 / 量反応関係 / 発癌閾値 |
研究実績の概要 |
研究者らが1999年から住民のフォローアップ調査を行っている内モンゴル自治区包頭市の缸房営村は、天然に砒素汚染された井戸水を飲料したために慢性砒素中毒の発生が見られ、かつ同年9月から砒素濃度の低い水道水給水が開始された地域である。2016年9月に数名の明確なボーエン病を発症した者を確認したことから、同村において悪性腫瘍の発生状況について調査を行う事を目的として本研究を始めた。期間延長して実施された2017年度分の研究期間の2018年7月に、中国側研究協力者グループによる現地調査が実施され、その際に作成された、同村の過去に登録された個人所有井戸毎の世帯に所属する住民の名簿を基に本格的な調査開始が可能となった。2018年9月に研究代表者が瀋陽を訪問しデータを受取り概略の説明を受けた。収集データは、主に村の診療所医師からの聞取りに基づくが、生活習慣病や死因に関してはある程度の情報が得られた。研究者らの1999年当時の調査データとの突合により、解析を行った。現時点で、Bowen病と思われる症例は6名と少数であるため大まかな推測しかできないが、Bowen病の発症の閾値は、飲用水中砒素濃度が0.01ppmを超える期間における平均砒素濃度が0.08ppm程度と考えられた。一方、2018年度の研究は2018年10月からと短期間となり、かつ冬季となったために、フィールド調査は行えなかった。2019年3月上旬にフィールドを管轄する包頭市衛生局のスタッフを瀋陽に招聘し、中国側スタッフ間での調査研究について打合せを行った。以上の解析結果および現地スタッフとの調整に基づき、2019年3月決定した。また、調査研究準備の遅れに伴い開始が遅れている本格調査にて、次年度以降に用いる予定の検査キットの事前購入を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度の計画の遅れは徐々に挽回されつつあるものの、2017年度の研究の延長・繰越しが9月に終了したために、2018年度の研究開始が10月からと遅れた。2017年度研究として行われた調査データの解析に基づき、本格的な調査研究の実施に向けての検討も遅くなったこと、フィールド現場が冬季かつ旧正月休みとなったために、2018年度内のフィールド調査は実施できなかった。そのため、中国側研究協力者グループとの現地スタッフ、さらに日本側研究者とのディスカッションのみを行った。本調査に用いる予定の検査キットの事前購入を行ったが、発注し納入予定であった一部の検査キットが製品ロット不具合が生じ製品の出荷が中止されたために、2018年度内の納入が不可能となった。そのため、一度、研究費について返却をせざるを得なくなった。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度予算にて購入を計画し発注していたものの、製造販売会社の製品不具合で出荷停止となった検査キットについては、購入に充てていた研究費を返納せざるを得なくなったが、2019年6月に調整研究費として公募されるものに応募して購入する事を考えている。中国側の国内問題もあり、困難さがつきまとうが、研究方針が決定した事から、中国側研究協力者による現地フィールでの調査がスムーズに進み、データが集積されることを期待し、研究を行う予定である。
|