研究課題/領域番号 |
17H04655
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
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研究分担者 |
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90081661)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒ素 / 慢性ヒ素中毒 / ボーエン病 / 皮膚癌 / フィールド調査 |
研究実績の概要 |
1999年夏に開始した中国内モンゴル自治区包頭市郊外の飲料水を介して生じている慢性ヒ素中毒流行地域で、研究代表者らが継続的に住民の健康状況をフォローしている疫学調査の一環に位置づけられる研究である。曝露開始からおよそ20年が経過し、ヒ素曝露住民の中にボーエン病や皮膚癌を発症する者が見いだされ始めた。近年中国内モンゴルでの現地調査に関して、中国側共同研究者が現地の衛生局との交渉にあたってもらっているが、フィールド調査開始時から人員が入れ替わり申請者ら外国人はもとより中国人スタッフでも協力体制が薄れており交渉に時間を要するようになっている。このような状況の中、2019年10月23日から26日に共同研究者のグループ4名が現地を訪問して調査ができた。フォロー開始当時の村人口およそ1100名のうち、調査に参加した132名を中心に面会を進め、51名の在村が確認された一方、12名の死亡が確認された。相当数の者が村外に移住していることも分かった。現時点では、3名の皮膚癌等の発症が判明した者がある。新規にフォローできる者を増やしつつあり、2回目の調査の交渉がされていたが、2019年11月、中国のフィールド調査事前交渉の過程で、現地協力機関で交渉担当をしていたスタッフが急遽部署異動となり人員補充されるまで事前交渉を中断せざるを得なくなった。そのため、2019年度調査を2020年7月まで延期し研究遂行を予定するとともに、2020年3月に研究代表者が中国側共同研究者を瀋陽に訪問して打ち合わせ等を行う予定であった。しかし2019年暮れに中国で流行が始まった新型コロナウイルス感染症により、渡航が叶わなかった。また、延期していた内モンゴルでの調査も中国側スタッフの現地入りもできない状況に陥っており、状況の改善を待っている状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国の北部西部の国内事情により、中国側共同研究であってもフィールド調査を行うためには、多くの交渉が必要となっている。そこに、新型コロナウイルス感染症が勃発したことで、中国国内での移動制限、さらには国際間の移動規制があるために困難を極めている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年の計画も実施できなかったが、本研究のように、20数年を経たフィールドで2度と観察ができない発癌とその交絡要因をできる機会はまたとないことから何とか成果を上げることに尽力したい。中国側共同研究者への働きかけを粘り強く行いたい。日本・中国間の、また中国国内での人の往来が緩和されることと、新型コロナウイルス感染症の蔓延が下火になり、感染予防対策の重責をになう、現地フィールドを管轄する保健局のスタッフの業務量が減ることを願っている。
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