研究課題
自己炎症疾患は、周期性の発熱発作を特徴とする難治性炎症疾患である。家族性地中海熱に限れば中東には10万人以上の患者がいる一方で、本邦には1000人程度のため、鑑別に挙がらず、診断に難渋することが多い。また、疾患責任遺伝子変異が種々判明しているにもかかわらず、周期性や未発症キャリアが存在する原因は不明である。そこで、自己炎症疾患の遺伝子変異をもつ症例の多いトルコの研究機関と連携し、申請者らの開発した無細胞疾患責任分子複合体アッセイ系である試験管内インフラマソームと質量分析により、患者臨床検体中のどの成分が発症トリガーとして疾患責任分子複合体の相互作用に影響するかを解明し、自己炎症疾患の発症と周期性のメカニズムを解明する。前回までの研究で、発作のトリガーとなりうる単一成分候補を複数同定した。昨年度は、Bogazici大学の担当教授に加え、自己炎症疾患症例の多いトルコのMarmara 大学とIstanbul 大学の専門家と研究協力し、臨床資料の提供と解析について議論を行った。貴重な試料であるため、効果的な研究成果を上げるための研究の方向性を確認した。試験管内インフラマソームについて、遺伝子変異に対応するPyrinインフラマソーム、NLRP1インフラマソーム、NLRP3インフラマソーム、NLRC4インフラマソーム、Nod2ノドソームなどの無細胞タンパク質の合成を進め、疾患特異的なインフラマソームの構築をほぼ計画通り進めた。これらを用いて、インフラマソームに相互作用する内因性物質と環境中の外因性物質に対する反応性の解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
前回までの科研費の課題遂行で築いた研究ネットワークがさらに広がったことに加え、無細胞インフラマソーム系に特異的に相互作用する物質候補が複数見つかった。このため、これらの物質を陽性コントロールとして使用することができ、環境中や臨床検体でのアッセイの特異性が改善された。これらの物質の定量的解析を行うことで、本年度以降の研究の進展が加速できることが予想されるため。
無細胞インフラマソーム系に特異的に相互作用する物質候補が、自己炎症疾患症例の臨床検体中で自己炎症疾患の発作特異的に変化を示すことを検証する。また、これらの物質の由来を明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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