本研究ではHIV感染児の日常的な口腔ケアが免疫力や全身の健康の改善、さらにAIDS発症の抑制に関係しているかを調べることを目的とする。 研究期間である2017年~、研究倫理審査を得て、研究サイトであるカンボジア国立小児病院においてHIVに感染した児とその保護者に、コミュニティにおいてはHIV非感染の児に対してベースライン調査を実施した。その後、介入群のHIVに感染した児と保護者に口腔衛生介入を実施した。4ヶ月に1度、口腔英背に関する集合セミナーを実施した。 当初の最終年である2020年度にエンドライン調査を予定していたが、コロナ禍のため延期となり、2021年度に実施となった。2022年度は収集したエンドライン調査データのスクリーニングを行い、分析を行った。 分析の結果、HIVに感染した児において、口腔衛生介入の非介入群より介入群の方が、介入前より歯磨き時間に交互作用が見られた。また、HIV非感染の非介入群よりも、HIVに感染した児の介入群の方が交互作用が見られた。HIVに感染した介入群の児においては、永久歯におけるう蝕とウイルス量、唾液量とQOL等において介入前後の長期的な変化に関連が見られた。これにより、口腔衛生介入はHIV感染児の口腔ケア行動を改善したり、児の全身の健康を強化する可能性が示唆された。 この結果について論文を執筆し、投稿を行った。2022年度末の時点で、再査読の回答待ちの状況である。
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