研究課題/領域番号 |
17H04664
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小林 宣道 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80186759)
|
研究分担者 |
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10363699)
アウン メイジソウ 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10749584)
川口谷 充代 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70733062)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (80396308)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 薬剤耐性菌 / 分子疫学 / 開発途上国 / メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 / カルバペネム耐性腸内細菌 |
研究実績の概要 |
本研究は開発途上国のなかでも薬剤耐性に関する情報が特に少ないミャンマー、バングラデシュ、キューバを対象とし、新興薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、カルバペネム耐性腸内細菌、等)の包括的な分子疫学的解析を行うことを目的とする。今年度、バングラデシュでは、大腸菌、肺炎桿菌、MRSAの解析を完了した。2014~2015年の1年間に分離された大腸菌233株と肺炎桿菌142株の計375株を調査した結果、メロペネム耐性率は大腸菌で8.2%、肺炎桿菌で3.5%であった。カルバペネマーゼ遺伝子は大腸菌9株(3.9%)、肺炎桿菌3株(2.1%)に検出され、blaNDM-1(大腸菌2株、系統群A、B2b;肺炎桿菌2株)、blaNDM-5(大腸菌4株、系統群A、B2a)、blaNDM-7(大腸菌3株、系統群B1、D)、blaOXA-181(肺炎桿菌1株)と同定された。一方、2015~2016年に分離された皮膚感染症由来の黄色ブドウ球菌430株を解析した結果、MRSA(mecA陽性)の割合は30.7%であったが、pvl陽性率は44.9%(MSSA、54.4%;MRSA、23.5%)と高かった。pvl陽性菌株はおもに3つのクローン(coa-IIIa/CC88, coa-Va/ST121, coa-VIa/ST772)により構成されており、CC88-pvl陽性MRSAはバングラデシュでの新興クローンであることが示唆された。ミャンマーでは、臨床材料および健康人鼻腔から最近分離されたS. argenteus 9株を対象とし、それらの保有する病原遺伝子とその遺伝子学的特徴、黄色ブドウ球菌との違いについて解析した。キューバでは2014~2018年にわたる大腸菌臨床分離株におけるESBLの分布、カルバペネマーゼ遺伝子の有無について解析し、CTX-M型ESBLの拡がりとNDM-1遺伝子の存在を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バングラデシュ、ミャンマーではグラム陰性桿菌(大腸菌、肺炎桿菌)、黄色ブドウ球菌(MRSA)またはS. argenteusの解析が進み、論文による公表に至った。またキューバではVREの論文がすでに発表されており、大腸菌の解析も終わっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
バングラデシュでは、腸球菌の薬剤耐性とそれに係る耐性遺伝子の種類、分布状況を解析する。ミャンマーでは、病院由来MRSAの解析を完了し、これを早期に論文公表する。キューバにおける大腸菌の研究成果を論文公表するとともに、今後アシネトバクターの分子疫学的解析を進める。
|