研究課題/領域番号 |
17H04665
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
西条 旨子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40198461)
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研究分担者 |
田崎 隆史 金沢医科大学, 総合医学研究所, 准教授 (70629815)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ダイオキシン / 体内時計 / クロックジーン / 睡眠 / 発達障害 / 学童 / ベトナム |
研究実績の概要 |
周産期ダイオキシン高暴露による高機能自閉症傾向があることを報告してきたベトナムの高濃度汚染地域居住の小児コホートについて、ダイオキシン暴露あるいはダイオキシンによる自閉症傾向が体内時計に及ぼす影響について分子疫学的に明らかにすることを目的としている。 そこで我々は、2018年度までに、ベトナム・ダナン市ダイオキシン汚染地域であるテンケー地区およびサンチャー地区に居住する母子ペア(児は8-9歳)について、次の項目からなる全調査を終了した;①自閉症コア症状についての調査(ADHD調査票、学習障害調査(CLS)、ベトナム語読み書き調査)、②トビー視線検出装置(既設)を用いた子供の注視機能検査とEEG(既設)によるミラーニューロン系活動の測定、③子供の不適合症状についての母親からの聞き取り調査(攻撃性に関する調査(C-SHARP) 本年度は、両地区で収集した頬粘膜検体のクロックジーンであるBMAL1、PER1、PER2、CRY1, CRY2のRNAを分析し、βアクチンをリファレンスとして補正したサイクル値を各遺伝子発現量の指標として、先に調査した不適合症状の指標との関連性について統計解析を行った。その結果、BMAL1の発現が認められた子供は少数ではあるが(男児17名、女児15名)、遺伝子発現が認められなかった同性の子供に比べダイオキシン暴露量が多く、特に女児ではBMAL1遺伝子発現量とTCDDとの間に有意な相関が認められた。また、BMAL1遺伝子発現量は、睡眠調査結果とも有意な関連示し、日中の採取にも関わらずBAL1の発現が認められた女児は睡眠時間が長いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナム・サンチャー地区においても睡眠や行動のデータおよび頬粘膜の収集を行い、予定されていたクロックジーンの測定を終了できた。また、その結果から、遺伝子発現量と睡眠などの不適応症状との関連性の統計解析を行うことができたことから、研究は順調に進展していると考えられる。しかし、テンケ―地区でRNA収集が不充分であった検体について再検査を実施したが、検出率も向上しないばかりか、他の対象児との検査時年齢の差が大きく、解析に用いることができなかった。このため最終的には「おおむね順調」と判定した
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今後の研究の推進方策 |
攻撃性に関する指標やADHDスコアやミラーニューロン活動などの指標とクロックジーン発現量との関連性について解析を行ない、学会発表および論文作成を行う。 また、対象児の思春期発来状況を調査し、性ホルモンの変化が睡眠や行動に及ぼす影響を検討する。
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