研究課題
これまでに我々は、ベトナムのダイオキシン汚染地域において、周産期ダイオキシン暴露により自閉症傾向が増すことを報告してきた。本研究では、自閉症児の不適合症状である睡眠障害に関連する体内時計についてのダイオキシン曝露の影響を検討する。本研究は、攻撃性や睡眠時間・質に関する行動学的調査と、唾液中のメラトニンやクロックジーンであるBMAL1やPER2のRNAの発現を測定する神経内分泌学的、分子生物学的調査の2つの部分からなる。この2つの調査から得られた体内時計に関する指標と、周産期ダイオキシン曝露指標である母乳中ダイオキシン濃度、あるいはダイオキシンよる自閉症傾向との関連性について、明らかにすることを本研究の目的とする。対象は、ベトナム・ダナン市ダイオキシン汚染地域で2008-9年に立ち上げた小児コホートであり、9歳時に頬粘膜を採取し、クロックジーンであるBMAL1、PER1、PER2、CRY1, CRY2のRNAを分析した。各遺伝子発現量の指標としては、βアクチンをリファレンスとして補正したサイクル値を用い、母乳中ダイオキシン濃度との関連性を解析した。その結果、BMAL1の発現が認められた子供は少数ではあるが(男児17名、女児15名)、遺伝子発現が認められなかった同性の子供に比べダイオキシン暴露量が多く、特に女児ではBMAL1遺伝子発現量とTCDDとの間に有意な相関が認められた。また、BMAL1遺伝子発現量は、睡眠調査結果とも有意な関連示し、日中の採取にも関わらずBMAL1の発現が認められた女児は睡眠時間が長いことが示唆された。以上より、周産期ダイオキシン曝露は体内時計にも影響を与えている可能性が示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neuropsychologia
巻: 161 ページ: 108001~108001
10.1016/j.neuropsychologia.2021.108001
Nutrients
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