研究課題
鉄芽球性貧血は、赤芽球のミトコンドリアへの鉄の沈着を特徴とする難治性貧血である。先天性・後天性に大別され、前者の遺伝性鉄芽球性貧血は希少疾患であり、その病態・分子遺伝学的解析のためには国際的共同研究による症例集積が必須である。本研究は、遺伝性鉄芽球性貧血の国際的分子疫学と新規原因遺伝子の同定、遺伝性鉄芽球性貧血と後天性鉄芽球性貧血(骨髄異形成症候群)間の病態および分子遺伝学的相違の解析、解析結果に基づく治療標的分子の同定と鉄芽球性貧血の新規治療法の開発、を目的としている。今年度は、既知の原因遺伝子の変異が同定されなかった症例の遺伝子変異をハーバード大学との共同研究により行い、新たな遺伝子変異としてSLC5A6遺伝子の変異を同定した。ハーバード大学での症例は神経学的異常を伴っており、現在本邦での症例との類似性を確認中である。さらに、国内発症症例として、1歳男児の遺伝性鉄芽球性貧血疑いの症例について、エクソーム解析を行った結果、本邦では報告のないHSPA9遺伝子の変異が認められた。現在、この変異が有意なものかどうか、解析を進めている。また、登録された新規症例は17歳男性においては最も頻度の高いALAS2遺伝子の変異解析をサンガー法で行なったが、有意な変異は同定されなかった。現在、エクソーム解析による網羅的な解析を進めている。現在、ヒトiPS細胞由来赤芽球に本研究で同定したZIP8、SLC5A6遺伝子の変異を導入した株を作成し、鉄芽球性貧血の原因遺伝子であるかどうか、in vitro分化系を用いて解析中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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