研究課題
今年度の研究では、日米のIgG4関連疾患患者の唾液腺をを用いてDNAマイクロアレイ解析を行った結果、MMP9およびCCL18が共通の発現変動遺伝子として抽出された。そこで、症例数を増やしてvalidation を行った結果、IgG4関連疾患は他の対照群(慢性唾液腺炎、健常者)と比較して、CCL18のみがmRNA発現量の有意な上昇を認めた。また、唾液腺におけるCCL18発現細胞は、主にCD163陽性M2マクロファージであった(蛍光二重染色)。CCL18は、不活性リンパ球に対して強い遊走能を示し、線維芽細胞によるコラーゲン産生を刺激し,肺線維症の進行に関与することが報告されており、病変局所の線維化やリンパ球浸潤を特徴とする本疾患においては、病態形成に重要な役割を果たしていることが推察される。そこで、線維化とM2マクロファージとの関連を明らかにするため、マッソン・トリクローム染色にて線維化スコアを算出した。その結果、唾液腺における線維化は、健常者では腺房周囲に散在性に認め、慢性唾液腺炎では導管周囲に認めた。一方、IgG4関連疾患では異所性胚中心を取り囲むように索状に線維化を認めた。また、線維化スコアを各症例間で比較するとIgG4関連疾患は他の患者群と比較して有意に高く、IgG4関連疾患のみM2マクロファージ陽性率と線維化スコアに正の相関を認めた。現在、IgG4関連疾患の診断にCCL18が応用できるか否かを検証を行っている。そのためには少なくとも数百例が必要であるが、本研究の共同施設のみでこの症例数を集めることは不可能である。そのため、厚労省難治性疾患克服疾患事業「IgG4 関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指した研究」班(研究分担者の中村が研究代表者)で構築した患者レジストリで収集した臨床データおよび組織を利用して診断に有用か検証する予定である。
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