研究課題/領域番号 |
17H04678
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚田 学 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (90724352)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 協調型ITS / インターネット / ネットワーク / ITS標準技術 |
研究実績の概要 |
協調型ITSに不可欠な車々間通信は、1)非対応車の問題、2)都市部における遮蔽の問題、3)無線の到達範囲の問題、4)不正メッセージの問題など、日欧米で共通の問題を抱える。本研究の目的は、日米欧の国際標準技術と調和を取りながら共通方式で、正確でリアルタイムな車々間通信を支援する路側拠点システムを開発することである。 これまでに開発してきた路側拠点システムを、大容量高速の路側ネットワークへ接続し大規模に展開する場合のシミュレーションを行った。この研究の予備分析となる論文を国際学会Vehicular 2018で発表した。詳細な分析に関しては、シミュレーションを利用し分析した。オープンソースでネットワークをシミュレーションできるOMNeT++と、自動車の動きをシミュレーションできるSUMO、それらを統合するVeinsおよびArteryのフレームワークを利用して行った。上記を実現する際に必要となる、昨年提案した路側拠点システムの無線リンクの輻輳を回避するアルゴリズムは、安全に必要なメッセージを低遅延で配送するために効率的であることがわかった。新しい結果に関しては、国際論文への投稿を準備中である。 また、同志社大学、進化適応的自動車運転支援システム「ドライバ・イン・ザ・ループ」研究拠点形成で共同で、車両位置相互監視によるV2X通信なりすまし検知手法の研究を実施した。シミュレーションによる実験結果により、1)路側機を利用した手法と2)車両の相互監視による手法を組み合わせることで、現実的な計算量で効率的に、車両位置の改ざんを検知することができることが示された。本結果は、国際論文誌International Journal On Advances in Internet Technologyおよび、国際学会Vehicular 2018で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年までに実施した、路側拠点システムに関して、課題の分析、機能要件の抽出(国際学会のICWMC 2017発表論文)の結果、車々間通信の広域配布に関する研究を行なった。これまでに開発してきた路側拠点システムを、大容量高速の路側ネットワークへ接続し大規模に展開する場合のシミュレーションを行った。研究実績で述べたシミュレーション開発環境は、今後の研究でも利用可能である。
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今後の研究の推進方策 |
協調型ITSに不可欠な車々間通信は、1)非対応車の問題、2)都市部における遮蔽の問題、3)無線の到達範囲の問題、4)不正メッセージの問題など、日欧米で共通の問題を抱える。本研究の目的は、日米欧の国際標準技術と調和を取りながら共通方式で、正確でリアルタイムな車々間通信を支援する路側拠点システムを開発することである。 昨年提案した路側拠点システムの無線リンクの輻輳を回避するアルゴリズムは、安全に必要なメッセージを低遅延で配送するために効率的であることがわかったが、より大規模に適応する場合には課題があることも同時にわかった。そのため、今年はアルゴリズムの改善に取り組む。 また、路側拠点システムをオープンソースの自動運転ソフトウェアAutowareに対応する計画は引き続き実施する。昨年度までは、遠隔地で路側拠点の管理するエリアの交通状況を取得するために、本研究ではリアルタイムかつ盗聴・改ざんを防ぎながら、IPv6を利用した遠隔送信機能についてLTEとIPv6の利用を検討して来た。今年度は、Internet of Things(IoT)やクラウドの商用サービスとして普及して来た、Amazon Web Services、Microsoft Azureなどを組み合わせたシステムを開発することを検討する。協調型ITSの標準技術との調和を保ちつつ、IoTシステムの普及技術を取り込む狙いである。 また路側拠点システムと第5世代移動通信システム(5G)との親和性を高めるための研究は引き続き継続する。5Gの実証実験などに参加し、議論を行う。
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