研究課題
本研究では世界中のあらゆる屋内位置に意味的ラベルを付与することを目的とする技術開発を行う.例えばスマートフォン端末を携帯する人が時刻tに寝室に居た場合、端末が観測した時刻tのセンサデータを用いて「寝室」のクラスラベルを推定し、同時に観測されたWiFi電波情報(屋内位置)に紐付ける。本年度は、スマートフォンによる音声アクティブセンシングを用いたコンテキスト認識として、屋内オブジェクトの認識手法の実装および論文執筆を行い国際論文誌ACM IMWUTにフルペーパー採択され、当該分野のトップ国際会議であるUbicomp2019にて口頭発表予定である。提案手法では、サイン波およびサインチャープ信号により、オブジェクトの動きによって引き起こされたドップラーシフトおよびオブジェクトの音反射特性を示すインパルス応答を取得し、機械学習に基づきオブジェクトの状態推定を行う。また、Wi-Fi電波を用いた位置コンテキスト取得研究として、Wi-Fi電波ベクトルが取得された2地点間の距離を推定する手法の開発および論文執筆を行い国際論文誌ACM IMWUTにフルペーパー採択され、Ubicomp2018にて口頭発表を行った。提案手法を用いることにより、Bluetoothビーコンなどを必要とせずに2つのWi-Fi端末間の距離が計測可能となる。また、屋内位置の意味的ラベル推定をマルチモーダルデータを用いて行うための準備として、加速度やジャイロセンサによるデータ収集およびデータ処理手法の設計を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
これまでの研究成果は2件がACMの国際論文誌に採録され、トップ国際会議であるUbicomp2018およびUbicomp2019で発表予定であり(1件は発表済)、研究計画時に想定していた以上の十分な成果を得た。また、音声アクティブセンシングに関する研究報告が情報処理学会 第60回ユビキタスコンピューティングシステム研究会 優秀論文賞を受賞、またコンテキスト認識に関する取り組み全般に対してIPSJ/IEEE Computer Society Young Computer Researcher Awardを受賞し、国内外でも非常に高い評価を得た。
今期にて十分な研究成果は達成できたが、来期はさらにマルチモーダルデータを用いた手法の開発の改良を行い、論文誌やトップ国際会議への投稿を行う。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies (IMWUT)
巻: Vol. 2, Issue 4, No. 160 ページ: No. 160
https://doi.org/10.1145/3287038
巻: Vol. 2, Issue 3, No. 130 ページ: No. 130
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ACM/Springer Personal and Ubiquitous Computing (ACM/Springer PUC)
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https://doi.org/10.1007/s00779-017-1070-9