研究課題/領域番号 |
17H04690
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青山 一真 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (60783686)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 経皮電気刺激 / バーチャルリアリティ / インタフェース |
研究実績の概要 |
本年度の経皮電気刺激インタフェース研究の成果としては,味覚の電気刺激を中心に様々な感覚提示インタフェースの構築とそのアウトリーチ活動を行った.味覚電気刺激に関する研究の成果としては,SIGGRAPH2019での展示やUIST2019での展示,VR学会論文誌での論文発表を行った.さらに,電気刺激による味覚提示インタフェースのアウトリーチ活動として,実際のレストランの協力を得て電気刺激フォークの展示を行った. また,前庭電気刺激に関しては,Laval Virtuarl2019での展示や,神経科学系学会であるSociety for Neuroscience,モーターコントロール研究会にて発表を行った.また,本研究の総括としての電気刺激全体に関しての研究発表として,SCI2019などで発表した. 電気刺激による味覚提示としては,顎部電気刺激と連続矩形波刺激による継続的な味覚提示手法を併用した,味覚ディスプレイを開発した.前庭電気刺激においても,これまで人によって感じてしまっていたチクチク感などが起こりにくい電極の条件などを模索し,効果のある電極の候補を複数発見するなどの成果が得られた. 視覚の電気刺激に関しても多電極を短時間に切り替える電気刺激手法を開発する事で,簡単な図形を安定して見せる事ができるようになるなどの顕著な成果が得られた.この成果は今後発表していく予定である. 経皮電気刺激の惹起する感覚の脳内表象をfMRI等の脳計測装置を用いて検証する実験も同時に進めており,前庭電気刺激と視覚電気刺激にフォーカスした研究を推進している. 以上より,本年度は前庭電気刺激と味覚電気刺激を実応用に近いインタフェースとして昇華する事ができ,さらに視覚電気刺激に関しても簡易な図形に限っては安定して提示する事のできる刺激手法を開発したことが,本年度の主たる実績であると言える.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,前庭電気刺激,味覚電気刺激,視覚電気刺激の複数の電気刺激に関して,それぞれ予想以上の成果が得られている.特に本年度は味覚の電気刺激の新たな手法とそのアウトリーチ活動までを行うことができており,前庭電気刺激に関しても当初の予定以上に実応用に向けた課題の発見とその対策を行うことができている.また,視覚の電気刺激に関しても新たな手法を対外発表するための準備が進んでいる. 一方で嗅覚に関しては研究は順調に進んでいるものの,対外発表に至っていないため,おおむね順調に進展しているとした.
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2019年度には,多感覚提示のための経皮電気刺激を同時に利用する事のできるヘッドセットを構築する.そのための要素技術については,これまでの研究成果から準備が整ってきていると言える.このため、複数の電気刺激を併用した際のクロスモーダル効果やその効果を活用する事のできるアプリケーションの開発など,バーチャルリアリティ並びにヒューマンインタフェース分野に資する研究開発を推進していく予定である.
|