研究実績の概要 |
平成29年度前期には,一般化交換問題の定式化と,解法が満足すべき性質としてのコアの定義を行った.また,conditionally lexicographic preferences と呼ばれる選好ドメインにおいて,コアが常に存在すること,およびコアを求解するアルゴリズムを提案した.提案アルゴリズムは多項式時間で動作するだけでなく,特定の参加者の効用を増加させる虚偽表明の存在性判定が NP-困難であることを示した.当該研究成果は,人工知能分野の一流国際論文誌である Journal of Artificial Intelligence Research に採択された. 平成29年度後期には,一般化交換問題の特殊ケースとして,効用の外部性に着目した.特に,自分の初期保有財が配分される参加者に対して自分が選好を持つ,サービス交換問題を定式化した.このモデルは Mumcu and Saglam による外部性モデルの特殊ケースとも捉えることができる.このモデルのもとで,パレート効率的かつ個人合理的な解を発見するアルゴリズムを提案した.当該研究成果は IJCAI-ECAI-2018 に採択された. このほか,動的環境における社会的意思決定や,複数指標に基づく選好下での社会的意思決定の近似アルゴリズム,無閉路ネットワーク上の同時複数意思決定モデルについても研究を行い,国際会議 AAMAS-2018, AAAI-2018, PRIMA-2017 の会議録より研究論文が出版されている. 研究交流としては,研究協力者の Minming Li と国際会議 AAAI-2018 にて研究討議を行った.また,オックスフォード大学や国内企業より研究者を招聘し,研究討議を行った.さらに,自動制御連合講演会などの国内会議にて研究報告を行い,聴衆からのフィードバックを得た.
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