研究課題/領域番号 |
17H04702
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山越 康弘 北海道大学, 情報科学研究科, 学術研究員 (70743300)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生体情報計測 / 心拍・呼吸 / 連続血圧計測 / 電子カルテ / ベット |
研究実績の概要 |
本研究は、院内はもちろん、在宅下でも検査・ケアのために必要な生体情報をベットで全自動・無負担で取得し、それらの情報が電子カルテに自動入力される無負担患者モニター・電子カルテ融合システムを構築し、その有用性を検証することを目的とする開発研究である。 平成29年度は、当初研究計画書で記載した次の項目について研究開発を実施した。 1) 生体微小振動検出による心拍・呼吸情報を含む生理情報計測法の検討:呼吸や心臓の鼓動のような生体活動は、ごく微小な身体(体表面)振動を伴うことを利用し、新たな柔軟性のある超薄型圧電、感圧抵抗変化型センサー等の性能評価と、生体情報計測システムの試作開発から行った。また、他の生理情報計測法として、実施研究者らがこれまで開発を行ってきた連続血圧計測法(容積振動法)を用い、患者が横になっている際に簡便に腕・指等を局所圧迫できる、血圧計測システムの試作開発も同時に行った。 その結果、ベットシステムの信号処理回路・電源回路を新たに設計・開発を行い、システムのプロトタイプ(1号機・2号機)が完成した。このシステムを利用し、安定計測に向けて、身体のどの部位(頭、背中、腰、臀部など)から信号検出すべきかを、信号レベルやノイズの大きさ等から判定し、センサー設置位置について検討を行った。また、血圧計測システムにおいても、ベットシステム同様に信号処理回路・電源回路を設計しプロトタイプの製作を行った。今後は、両システムの性能評価や比較実験、使用感(違和感)などを検討し、健常者・患者を対象に長期的なデータを取得し、医学的有用性を評価していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった、生体微小振動検出法による生理情報計測システム(プロトタイプ)の開発は、ベットシステム、および連続血圧計測システム共に順調に進み、実際に生体信号を計測できるレベルまで達成できた。しかしながら、回路設計等に大きく時間を要し、複数台の構築とまではいかなかっため、従来法との対比実験の検討および性能評価実験が十分にできなかった。以上により、本研究はほぼ当初の計画通り進展しているが、実験によるデータ計測結果が不足しているため来期の課題とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、基本的には当初研究計画通り、1)全自動バイタルサイン同時計測・リアルタイムデータ伝送方式の院内ベッドモニターシステムの開発と検証、について研究開発を行う。 前年度の成果に基づき、メンテナンスフリーで呼吸・循環情報を同時計測可能、かつリアルタイムデータ伝送可能なベッドモニターシステムを実現する。また、主に健常者を対象として、システム性能評価、計測に対する使用感(違和感等)評価、従来法との比較によるシステム精度評価を実施する。なお、取得されたデータはスマートフォンやタブレット端末でもリアルタイム表示・閲覧出来るソフトウエア開発も行っていく予定である。 また、連続血圧計測システムに関しても、患者が横になっている際に簡便に局所圧迫できる身体の部位についてさらに検討を行い、ベッド内蔵式(ベットモニターシステム組込型)にできないか検証を進めていく予定である。 最後に、今後も研究協力機関の総合せき損センター(飯塚市)の医師・看護師の協力を得て、簡便に生体情報を計測できるシステムを早期に開発を行い、患者の長期的なデータ(3~12ヵ月)を取得し、医学的有用性を評価したい。
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