研究課題
本研究では、過去200年間の大気二酸化炭素濃度の増大に伴う海洋窒素循環変動を、造礁サンゴ骨格の窒素同位体比測定法を用いて明らかにすることを目的としている。世界で最も脱窒が盛んな1)アラビア海、最も窒素固定が盛んな2)カリブ海と3)北西太平洋に加え、北太平洋の窒素固定・脱窒の観測地である4)ハワイ、東部インド洋の湧昇域である5)スマトラ沖において造礁サンゴ骨格コアの過去200年間の窒素同位体比変動を復元するため、サンゴ骨格試料の採取と成長線解析および一次処理を行ってきた。平成30年度は本研究に用いるサンゴ骨格試料を概ね揃えたが、ハワイのサンゴ骨格試料は200年に満たないため、引き続き調査を実施できるよう共同研究者と打ち合わせを行っている。サンゴ骨格試料は岩石カッターで切断し、5mmの厚さにスライスしたのち、軟X 線画像を撮影し年輪と成長方向を観察した。コアの下部は続成を受けている可能性があるため、XRD解析にて続成がないか確認した。また、サンゴ骨格の水温指標である酸素・炭素同位体比およびSr/Ca分析による年代決定と地球温暖化履歴の復元を行った。また、窒素同位体比測定に用いる試料のサブサンプリングと粉末の前処理を継続中である。サンゴ骨格の酸素・炭素同位体比、Sr/Ca分析の結果は国際誌に公表あるいは投稿中である。また、国内外の学会にて本研究の成果発表を行い、新たな国際共同研究の機会を得ることにつながっている。
2: おおむね順調に進展している
本研究に用いる試料が概ね揃い、一次解析および前処理も計画通り進行しているが、ハワイ諸島における追加のサンプリングを次年度に実施できるよう計画中である。
引き続きハワイでの掘削調査を実施する。また、本年度に採取、一次解析をおこなった試料について、引き続き窒素同位体比分析を行い、地球温暖化に伴う海洋の窒素収支の変化を議論する。本研究の成果は国際学会および国内学会にて随時、成果報告を行うとともに、国際誌に論文を投稿する。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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