本研究では、胎児期バルプロ酸曝露の発達期ミクログリアおよび神経回路機能への影響を調べた。生後10日目にミクログリア活性をIba1/CD68染色により測定したところ、バルプロ酸を胎児期に曝露したマウスの海馬CA1領域で顕著な細胞体の肥大とCD68発現亢進が認められ、ミクログリアが活性化していることが明らかとなった。この時、海馬CA1領域の興奮-抑制バランスが興奮側にシフトしていた。ミノサイクリンを母体に飲水中投与したところ、ミクログリアの活性化が抑制され、興奮-抑制バランスが回復した。従って、胎児期のバルプロ酸曝露は発達期のミクログリアを活性化し、神経回路機能異常を引き起こすことが示唆された。
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