本研究では、数千種からなる複雑な微生物集団「活性汚泥」を対象に、系内で「誰が何をしているのか」を研究し、複数の鍵微生物を特定した。研究成果の一つは、系内にごくわずかにしか存在しない硝化細菌が、他の微生物との相互作用を介して水処理装置全体の活性を左右することを見出したことである。系内の存在量とその微生物の重要性は必ずしも一致せず、それが活性汚泥における予期せぬ性能低下の一因になることを示した。もう一つの成果は、活性汚泥内で他の細菌を食べる、捕食性細菌の機能と重要性を明らかにしたことである。水処理装置で増えすぎた微生物は余剰汚泥として廃棄されるが、捕食性細菌の働きは余剰汚泥の減容に有用であった。
|