紙の原料であるパルプの主な製造方法はNaOHとNaS2を用いたクラフトパルプ法であるが、黒液と呼ばれる硫黄含有リグニンがパルプを製造する分解・洗浄工程で発生し、薬品の使用により環境負荷が高く、高コストな処理プロセスとなっている。本研究では、高活性水蒸気処理と粉砕処理を組み合わせた環境保全型前処理により製造されたセルロースナノファイバーの引張強度、SEM評価、分子量を明らかにしただけでなく、セルロースナノファイバーとホロセルロース(環境保全型前処理法で製造されたパルプ)から新たな紙を作ることで、従来の紙、すなわちクラフトパルプと同等以上の強度を有する環境保全型紙の新規製造法を開発した。
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