研究課題/領域番号 |
17H04718
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤森 崇 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20583248)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 有機塩素化合物 / 有機臭素化合物 / 共通機構 / 焼却 / 野焼き / 化学形態 / その場観察 |
研究実績の概要 |
芳香環を有し、かつ、ハロゲン(塩素または臭素)と結合している芳香族化合物(以下、有機ハロゲン化合物)は、共通してダイオキシン類様の毒性を発現することが明らかになってきた。とりわけ、都市ごみ焼却飛灰や廃電気・電子製品(e-waste)野焼き土壌等において高濃度の有機ハロゲン化合物が生成している。これらの灰や土壌は、無数の元素が混然一体となった不均一固相である。これまでの研究から、こうした不均一固相における有機ハロゲン化合物の熱化学的生成には「共通した支配機構(共通機構)」の存在が示唆されている。本研究では、環境中の不均一固相を対象として、そこでの有機ハロゲン化合物の熱化学的生成の「共通機構」提示を目的とする。【仮説1】金属による生成促進の共通機構、【仮説2】炭素のハロゲン化:塩素と臭素の共通性、の2つが本研究の仮説である。平成29年度は、基礎データの集積および銅を対象とした検証実験を計画し、それらの研究を実施した。e-waste野焼き土壌中の有機ハロゲン化合物として、塩素化・臭素化ダイオキシン類、フラン類、ビフェニル類、ベンゼン類、多環芳香族炭化水素類等を定量した。有機ハロゲン化合物の総量を評価するために、燃焼イオンクロマトグラフィーおよびX線吸収微細構造(XAFS)法を併用した方法を検討した。銅および臭素のその場観察XAFS測定に成功し、炭素の臭素化の直接実証につながるデータを得ることができた。解析により、臭化銅の熱化学的な変化によって炭素が臭素化される機構が示唆された。これは、先行研究で明らかになっている塩化銅による炭素の塩素化機構との共通性を議論し得る土台となる。一連の研究成果に対して、国際学会においてYoung Scientist Award(ISPTS 2017)およびOtto Hutzinger Student Award(DIOXIN 2018)を受賞した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りの実験を遂行することができた。特に、臭素のその場観察XAFSの測定は初の試みであり、データ取得に成功したことで、今後の順調な研究展開が期待できる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き定量実験を進めると同時に、XAFS法を用いた化学形態測定を発展させる。同時に、初年度に得られたデータを解析する。
|