研究課題
本研究では、研究代表者らが推進してきたナノマテリアルの安全性確保研究(物性-動態-毒性の連関解析)を機能性食品に応用することで、有用で安全な非晶質クルクミンを開発し、昨今の課題となっている品質担保のための評価手法としての有用性を実証する。昨年度までに、吸収後の体内動態や、効能/安全性評価を通じ、現行開発品が各種臓器に分布し、血中トリグリセリド(TG)量を低下させうることなどを示してきた。また、その機序としては、肝重量が増加(マウスではPPARαの活性化で、肝細胞が増殖)していたことから、PPARαを介したβ酸化の亢進が考えられた。そこで本年度は、分子メカニズム解析として、PPARαの直接的な活性化の関与を明らかにすべく、テトラサイクリンの有無によってPPARαの発現が制御され、PPARαが活性化すると発光するシステム(HepG2-Tet-off-hPPARα-Luc細胞)を用いて評価した。その結果、ポジティブコントロールのベザフィブラートと比べて、程度は小さいものの、濃度依存的に発光強度は増加し、PPARαを直接活性化することが示唆された。そこで次に、高脂肪食負荷試験を実施したマウスの肝臓からmRNAを抽出し、PPARαの下流である、ACOX1の発現量を定量的RT-PCRにより解析した。その結果、非晶質製剤投与群ではACOX1のmRNAが有意に増加することが示された。したがって、現行開発品はPPARαの活性化によりβ酸化を亢進することで、血中TG濃度を減少させていることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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