研究課題
介護分野におけるエビデンスの構築と利用(Evidence-based Care)がシステム化されていないため,評価と学習のサイクルが有機的に循環していない.そこで本研究では,根拠に基づいた認知症ケアを実践するためにエビデンスの創出・利用を促進するスキル伝承支援プラットフォームを構築し,実証研究を推進する.本プラットフォームの有効性を評価することで,認知症ケアの客観化と学びの促進にどのように貢献するのかを明らかにし,認知症ケアの高度化に有用であるかを検証する.以下に本年度の成果概要を示す.1. ケア従事者のスキルのみに着目して分析していたマルチモーダル分析システムを拡張し,高齢者の行動評価モデルを導入することで,ケアのインタラクションの観点からスキルを評価する仕組みを構築した.本システムを活用することで,ケア従事者のスキルの変化が,実際に認知症の人に対してどのような影響を及ぼしているか検証することが可能となった.さらに,環境センシングを行動分析に統合することによって温度・湿度や気圧等の要因が高齢者のアクティビティに影響することが示され,介護空間の特徴が明らかとなった.2. 認知症の医学的要因の評価方法を学ぶためのオンライン協調学習支援システムを構築し実践した.中核的な知識獲得と事例の多様な背景を考える創発性の二つの相互作用を促す本システムの特徴を活かすことで,医学的要因を幅広く深く検討できることが示され,事例ベースで関連知識をコーパス化した.介護記録との連動によって,インタラクションから記録データまでさまざまな主観・客観情報を統合的に扱い,介護従事者や認知症の本人のQOLを高める基盤に発展できる見通しが得られた.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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情報処理学会論文誌
巻: 36 ページ: 491-502
総合診療
巻: 32 ページ: 294-298
https://www.miraikan.jst.go.jp/aboutus/focus/article002.html