令和二年度の研究成果については、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、当初予定していた国内学会での発表及び国際研究集会等への参加全てが中止及び書面開催となり、ごく一部の国内調査(11月釜石・北海道室蘭)及び学会参加に代替して開催した研究成果写真展のような成果発表に時間を割く形となった。結果として「4.地域活性化に景観材として貢献しうる評価指標」にかかる研究調査は今後に持ち越すこととなった。 本年度の九州帝国大学工学部学生実習報告書の文献調査からは、鉱滓煉瓦の手打ち成型による製造方法、養生時における蒸気釜の使用方法、またその導入期などについて、各報告から確定させることが出来た。また判別方法としての空気養生時の褐色化や徐冷スラグの混在、他の材料を混ぜないことなども明らかになった。これら成果の発表については、日本産業技術史学会(9月・書面開催)及び『産業考古学』における査読付論文(R3年3月発行)として発表、また研究成果還元として「焼かないれんがのものがたり・鉱滓煉瓦・」と題した研究成果写真展を門司赤煉瓦プレイス(8/7~16)及び北九州市立旧百三十銀行ギャラリー(R3年1/17~2/6)にて開催し、それぞれ200名の入場者を得た。会期中に年度ごとに行っていた研究成果発表会を北九州にて初めて開催(8/14)、また今後の研究につなげるため、からみ煉瓦(鋳造鉱滓煉瓦)や人造石工法に関する研究者を集めたシンポジウムを計画(1/30)していたが、シンポジウムについては中止となり、書面開催とした。
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