本研究では、官営製鐵所が導入した技術のうち、とりわけ地域景観に影響を与えた固有素材である「鉱滓煉瓦」について、ドイツからの導入経緯と技術的特徴、釜石や室蘭への技術移転、銅鉱滓煉瓦(からみ煉瓦)や炭滓煉瓦など他の類似した素材との差異、更に普及の範囲とその特徴傾向を特定し鉱滓煉瓦造施設の現存数を明らかにするとともに、派生する産業技術と影響の把握として高炉セメントと鉱滓煉瓦に関する技術的な関連性と歴史的意味づけについて、とりわけ高炉セメントが鉱滓煉瓦の退潮をもたらしたことについて詳しく触れ、鉱滓煉瓦衰退の原因について述べた。
|