研究実績の概要 |
本年度は、地すべりに伴って生じる振動の地震波形解析を行い、新しい地すべりモニタリングの手法について、検討を行った。 1つ目に、2018年12月にインドネシアのアナク・クラカタウ島で発生した山体崩壊の地震波形解析を行った。この山体崩壊は、火山の噴火に伴って発生し、大規模な津波を引き起こした。津波によって500名近くの死者が出た。この山体崩壊は、地震のように強い揺れを伴わなかったため、通常の津波警報システムで検知することは困難であったが、地すべりに特徴的な周波数や震源メカニズムを利用することにより、山体崩壊発生の数分後に災害の発生を知ることができることが分かった。この解析手法を応用することにより、地すべりによって発生する津波警報を出すことができる。7月にインドネシアの気象気候地球物理庁と地質調査所を訪問し、今後の共同研究のための打ち合わせを行った。 2つ目に、2011年9月に静岡県浜松市で発生した深層崩壊の地震波形解析を行った。研究代表者は、同じ台風によって発生した紀伊半島の深層崩壊群の地震波形解析を行っているが(Yamada et al., 2012, 2013, 2016, 2018 )、静岡県については未調査のままであった。筑波大学との共同研究により、静岡県の深層崩壊の運動メカニズムについて明らかにし、既存の方法よりもよりロバストに地すべりを検出できる手法を適用した。今後は、他の地すべりにも同手法を適用して、リアルタイム検知に向けての検証を行う。
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