北海道南東部に位置する岩盤地すべりの内外において得られた地震波形記録の解析を進め、低周波数帯では両者の波形がよく似ており相関が非常に高いこと、高周波数帯では振幅、位相ともに両者に違いが見られること、それらの特徴が解析したPGAが 50 gal までの地震で共通する一方、100 gal を超える地震では(事例が1例しかないため原因が特定できないが)異なることが示唆された。 また、北海道南東部に位置し年に2回程度 6-9 m 大滑動するイベントが発生する再活動型地すべりにおいては、3つの地震に伴って 0.2-1.1 mm の地すべりの変位を観測した。これらの地震よりも大きな地震動を記録した地震も含めて15個の地震について、観測した地震加速度の大きさと地すべりの変位量、これらから計算される地すべりを動かすための最低加速度の大きさを比較した結果、地すべりが静止して安定している時期と比べ、地すべりがずるずると移動する不安定な時期において、より小さな地震動で地すべりが地震に伴って変位を示すことが分かった。また、大滑動イベントの繰り返しに従って、より小さな地震動で地すべりが地震に伴って変位を示すことも示唆された。地すべりが不安定な時期には地震動に対する抵抗が小さくなることが観測データから実証された。また、地震時の地すべりを駆動する地震動の特徴について、稠密微動観測から得られた地すべり内での地震動の卓越周波数(および、それから計算される波長)の観点から説明した。
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