本研究の目的は、細胞移植治療において移植細胞が発現する生物機能(移植機能)を個体レベルで非侵襲的に長期間検出するin vivo移植機能イメージング技術を開発することである。研究代表者がこれまでに開発した、モレキュラービーコンによる細胞生物機能の検出技術と生分解性ナノ粒子を用いた細胞内徐放化技術を発展させ、移植機能を体外から長期間検出する細胞移植センサーを開発する。開発した細胞移植センサーの性能をin vitroで明らかにするとともに、骨欠損モデル動物の細胞移植治療に適用し、その有効性を確認する。今年度は、引き続き、種々の移植機能に基づく細胞移植機能センサーの設計と物性評価ならびに細胞内挙動および移植機能検出能のin vitro評価を行った。 今年度は、増殖および分化機能を検出する細胞移植センサーの設計を行った。増殖機能においては、増殖マーカーとして知られている、Ki67タンパク質に着目し、Ki67 mRNAに対するモレキュラービーコン(MB)を設計した。細胞内徐放化担体は、これまでに開発してきたカチオン化ゼラチンナノ粒子を用いた。マウス間葉系幹細胞株に塩基性線維芽細胞増殖因子を添加すると、添加濃度に依存してKi67 mRNAの発現レベルが上昇すること、Ki67 mRNAの発現レベルに対応してMBの蛍光強度も増加することを明らかにした。分化機能においては、分化状態における代謝の違いに着目、代謝を司る酵素に対するMBを設計し、その有効性を評価した。これらの細胞移植センサーの個体レベルでの有効性について、現在評価するべく、準備を進めているところである。
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