研究課題
近年のフレキシブルセンサを用いたウェアラブルデバイスのヘルスケア・ライフサイエンス分野への応用の高い需要から、申請者は2016年に基礎生体情報分子である電解質・糖・重金属を計測できる電気化学センサを用いたスマートデバイスを提案した。しかし、慢性的な心理的ストレスを検出できるコルチゾール、ニューロペプタイド(NPY)、インターロイキン(IL)の唾液・汗中の濃度は、上述の電解質、生体低分子などの濃度の約一万分の一以下であり、唾液、汗など生体外分泌物から検出することが困難である。そこでH29年度は電極設計の基礎検討を行った。本研究課題を遂行するためにはストレスマーカーの高感度計測が可能な電極が必要不可欠である。そのために、先行研究で報告された花形電極をフレキシブル基板に構築した。上述にある通り、通常の平面の電極設計では、ストレスマーカーであるコルチゾール及びIL-6を検出することは濃度の低さから困難である。そこで、電極上に更に電気化学的に金を付着させ成長させることで、花のような形をした電極を形成した。この電極では、電極部分を花形に成長させることで3次元的な構造を有し表面積が増加した。結果的に検出感度が亢進することができた。また更に既存の蒸着器では単一のセンサしか構築できなかったが、大型の金属蒸着装置を導入することによって、ウェアラブルデバイスに適したサイズの電極を作製することで、次年度のシステム化に向けた電極構築を行った。
2: おおむね順調に進展している
抗原抗体反応を用いたストレスマーカーの高感度検出センサを構築することが本研究課題のボトルネックであった事から、それを解決できたことは大きな前進であり次年度の研究を行う上で十分な進歩であった。ただ、大型の蒸着装置の導入が遅れたことから、電極作製の安定化が遅れてしまった。その分、システム構築部分の計画を前倒したことから全体としてはおおむね順調に進展している。
今後の予定の変更点としては以下のとおりである本来、借用するはずであった金属薄膜作成のための真空蒸着器を研究室内で使用するためには移送、設置、メンテナンスに関わる費用が必要であった。真空蒸着器の借用予定のU社及び設置に関わる設置業者からの見積もりが、総額250万円であった。そのため、今年度における繰越金額にかかわる算定額を250 万円とした。当初の予定 4月借用決定。導入まで他研の小型蒸着器で代用、5月装置の装置の視察、9月契約の締結、12月蒸着器の導入終了。4月借用の決定。導入までは他研究室の小型蒸着器で代用。H30年度の修正案としてH29年度3月システムのプロトタイプを完成させる、H30年ど4月蒸着器を導入する、律速的にセンサの研究を行い始める。6月計画を軌道に戻す通りに行う。最終的にはシステム化を行うことでウェアラブルデバイス用のシステムの構築を行う。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Advanced Materials
巻: 30 ページ: e1707442
10.1002/adma.201707442