研究課題/領域番号 |
17H04748
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
野嶌 一平 信州大学, 医学部, 准教授(特定雇用) (20646286)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歩行 / コヒーレンス / 筋電図 / 脳波 / 経頭蓋直流電気刺激 |
研究実績の概要 |
脳波筋電図による皮質-筋間コヒーレンス値のリアルタイムフィードバックシステムのプロトタイプが完成し、健常若年者を対象に予備検討を開始している。歩行時の計測では、トレッドミルのモータからのノイズの問題が大きいため、予備検討では下肢運動課題による介入を行っていく予定である。 フィードバックシステム開発のため、視覚情報提示方法の違いが皮質-筋間コヒーレンス値に与える影響を検討した。また、健常高齢者と若年者における視覚情報の違いによる反応を比較した。その結果、運動パフォーマンスに関する視覚フィードバックを詳細(高精度)に与えることにより、皮質-筋間コヒーレンス値が高齢者群でのみ増大すること、また一方で筋-筋間コヒーレンス値は年齢に関係なく値が小さくなることを明らかにした。これらの結果は、視覚フィードバック戦略により皮質-筋間および筋間コヒーレンス値が変動すること、またその変動は対象者の年齢などに影響されることが示唆された(Revision中)。 また、地域在住の健常高齢者を対象に、立位課題中の下肢筋間コヒーレンス値と身体機能の関係を検討した。その結果、年齢や筋力といった運動の制御に関連する要因を調整した上で、片脚立位時の筋-筋コヒーレンス値と下肢筋肉量の間に有意な負の関係性を明らかにした。このことは、加齢による筋肉量減少により立位不安定性が大きくなっている高齢者では、上位中枢からの入力を高めることで安定した立位を獲得する戦略が取られている可能性が考えられた(Hum Mov Sci. 2020)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属変更に伴い、研究環境の整備に時間を要した。また、臨床フィールドにおける開発したシステムの利用を予定していたが、近隣施設との関係性構築が遅れている。一方で、脳波および筋活動を含めたネットワーク解析のアルゴリズム開発については、ほぼ完成しており、フィードバックシステム開発も完成に近づいている。 前施設で実施していたパーキンソン病患者に対する歩行練習への経頭蓋直流電気刺激の併用効果に関しては、データ解析が終了し、論文投稿準備中となっている。 倫理申請に関しては、所属施設から承認を得て、健常若年者を対象としたフィードバック介入の予備検討を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
皮質-筋間コヒーレンスのリアルタイムフィードバック介入に関しては、立位および課題実施時で開始しているが、今後は速やかに歩行時での介入に移行する。その際には、ノイズの問題を解決するため、シールドルームでの研究環境の整備を検討している。 パーキンソン病患者を対象とした介入では、附属病院および近隣施設との協力関係を早急に築いていくことで、速やかにデータ収集および介入を行っていく。
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