研究課題/領域番号 |
17H04751
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
竹井 裕介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (00513011)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 筋肉 / 筋音 / 筋電 / 電気刺激 / EMS / MEMS / ピエゾ抵抗 / 歪みセンサ |
研究実績の概要 |
筋肉の活動を定量的に評価することは、トレーニングやリハビリテーションの効果や、筋力や筋疲労を客観的に知るために重要である。筋活動を定量的に評価するための方法として、皮膚に貼りつけた電極で筋肉の活動電位を計測する筋電位法が盛んに研究されている。しかし、皮膚に貼りつけた電極の接触状態が変化することで信号にノイズが混入したり、発汗による皮膚と電極間のインピーダンスの変化が信号に影響を与えるなど、筋電位法は発汗を伴うような激しい運動時の筋活動評価には必ずしも適していない。 また近年、筋力を向上させるためのトレーニング機器の一つとして、筋肉電気刺激デバイス(EMSデバイス)がある。これは皮膚表面に電極を固定し電圧を印可することで、筋肉を強制的に収縮させるものである。EMSデバイスの課題として、電極と皮膚との接触抵抗を下げるために導電性ゲルが必要なことと、電気刺激による筋肉収縮の様子をモニタリングする方法がないことが挙げられる。特に、EMSデバイス使用時の筋収縮のモニタリングは、筋電計測との併用が困難なため実現が難しかった。 そこで本研究では、筋肉収縮時の変形や振動によって生じるメカニカルな信号である筋音に着目し、筋肉電気刺激時の筋収縮によって発生した筋音を計測することで、EMSデバイス使用時の筋収縮の様子をモニタリングを実現した。 初年度にあたる平成29年度は、MEMSを用いたフレキシブルで高感度な筋音センサの試作を行い、試作したMEMS筋音センサを用いて、筋肉電気刺激時の筋肉の収縮の様子を測定した。電気刺激の電圧と周波数を変えた際に、筋肉の収縮モードが変化することを筋音センサの出力から確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度にあたる平成29年度は、極薄シリコンピエゾ抵抗素子を用いた、MEMS筋音センサの試作を行った。また、試作したMEMS筋音センサを用いて、ヒトの上腕二頭筋の筋音の計測を行った。複数人の筋音を比較するためには、筋肉に定量的な負荷を与えた時の筋音を比較する必要がある。そこで、本研究では、筋肉への刺激を定量的に規定できる筋肉電気刺激デバイスを用いて、筋肉電気刺激時の筋音を計測した。この手法により、被験者間の筋音の比較が容易になり、筋肉の定量的な評価のための、土台整ったと考えている。本研究成果を通じて、知財2件出願、国内学会3件・国際学会2件の発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、引き続き、筋肉電気刺激時の筋音の計測を行う。特に、被験者の数を増やし、性別や年齢、筋力などが異なる被験者間の筋音の比較を通じて、筋音に含まれる「筋肉に関する有益な情報」の解析に取り組む。
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